学資保険ってどんなもの?基礎知識を徹底解説!
子供の教育資金を備える手段として、学資保険は必要なのでしょうか?
学資保険のデメリットを4つ・メリットを5つ挙げて解説し、学資保険が必要な人と必要でない人の条件を調査します。
まずは、学資保険の基礎知識から解説しましょう。
学資保険は子供の教育費を蓄えるための保険
学資保険とは、毎月一定金額を積み立てることによって子供の教育費を蓄えるための保険です。
学資保険に加入できる時期は運営する保険会社によって異なり、妊娠中から加入できる学資保険も存在します。
なお、妊娠中から加入できる場合は、出産予定日の140日前が最も早い時期とされています。
学資保険は、定められた期間内まで保険料の支払いを続けることで「満期保険金」を受け取ることが出来ます。
満期保険金を受け取る時期は保険加入時に決定でき、子供が大学入学を迎える18歳前後が一般的です。
学資保険のプランによっては、子供が一定の年齢を迎えると「祝い金」を受け取れる場合もあります。
祝い金を受け取る時期や回数も、学資保険のプランによって異なります。
祝い金を受け取れる時期は幼稚園への入園や小・中高校への進学時となっていて、積み立てた保険金の中から祝い金が出されています。
したがって、祝い金を受け取ると満期で受け取る保険金が減少してしまいます。
学資保険のプランの選び方によっては、祝い金を受け取らず、満期に一括で保険金を受け取ることも可能です。
祝い金を受け取る場合でも、進学の費用が増える高校入学のタイミングのみに祝い金を設定するプランにするなど、できるだけ満期金を減らさない祝い金の活用方法もあります。
学費の準備だけじゃない?学資保険のもう一つの役割
学資保険には、医療費の保障という役割も備えています。
子供がけがや病気のために入院・手術などが必要になった場合や、契約者(両親のどちらかが一般的です)が死亡・重度の障害を負った場合の保障を付けることも可能です。
学資保険の医療保障では、医療保険特約・傷害特約・災害特約の3つを選択できます。
医療保険特約では入院費や手術費が保険金から行われ、傷害特約と災害特約では子供が死亡・障害を負ったときに保険金が支払われる仕組みです。
傷害特約は特定の病気や不慮の事故が原因で子供が死亡したとき、災害特約は不慮の事故で障害を負ったときに保険金が支払われます。
こうした特約は、保険料に上乗せする形で利用できます。
ただし、学資保険は特約が多くなると毎月の保険料も増え、返戻率も下がるため、家計の支出とのバランスを考えて特約を付けるかどうかを決定しましょう。
教育資金の準備ができるけど……学資保険にはデメリットもある?
学資保険を利用すれば、堅実に教育資金を準備できます。
しかし、学資保険にはメリットもあるため使い方によっては学費がたまらない!という事態が発生してしまいます。
では、学資保険のデメリットを見てみましょう。
支払った保険料を途中で引き出せない
学資保険で積み立てた保険料は、任意のタイミングで引き出すことが出来ません。
そのため教育資金の出入りの柔軟性という点で考えると、学資保険の利用は不便に感じてしまいます。
学資保険が満期になるまでは時間がかかりますし、祝い金をもらえるタイミングも限られているため、保険金の受け取りにはどうしても制限が付きます。
教育費が必要となる事態は、進学や入園だけではありません。
子供の習い事など、急な出費が必要になる場合もあります。
他にも、学校生活に必要な道具や制服を備えるために資金が必要となる場合もあります。
まとまった教育費を用意することも必要ですが、柔軟に引き出せる教育費を学資保険とは別に用意しておくと安心です。
途中解約した場合は解約返戻金が支払った保険料の総額を下回る
学資保険が満期になる前に解約した場合、解約返戻金を受け取ることが出来ます。
しかし、受け取る解約返戻金はそれまでに支払った保険料よりも少なくなってしまう場合が多いのです。
解約返戻金は、解約までに支払った保険料から保険金・医療特約・契約維持の費用などを引いた金額が戻されることになります。
解約返戻金が満期金よりも少なくなるのは、自然な流れといえます。
解約返戻金は学資保険を解約したときに口座振り込みされるため、実際に受け取れるまでには数日かかります。
ただし、保険会社によっては解約返戻金を窓口で受け取れる場合もあります。
解約返戻金を利用すればまとまった資金は受け取れますが、結果的に払い損となってしまうことに変わりはありません。
長期にわたって学資保険を利用し続ける見通しが立ちにくい時は、別の手段を検討した方が良いでしょう。
保険会社や銀行が破綻した場合の満期金に差が出る
保険料を支払っている期間内で銀行や保険会社が破綻しても、生命保険契約者保護機構という組織が学資保険の加入を続けられる体制を整えてくれます。
生命保険契約者保護機構とは国内すべての保険会社が加入している組織であり、保険会社が経営を続けられなくなった時に保険契約者の補償を行う組織です。
保険会社や銀行が破綻したときは、更生手続きを行って新たな運営体制を整えるか、会社を売却するかが選ばれます。
更生手続きをとる場合は生命保険契約者保護機構が管財人となり、新たな運営体制のもとに業務や財産を管理しつつ、保険契約の移転計画を進めていきます。
会社を売却するときは、生命保険契約者保護機構を通じて学資保険の継続先を見つけます。
加入している学資保険の新たな継続先が見つからなかった場合は、保険契約者保護機構の子会社となる継承保険会社に運営が引き継がれることになります。
また、保険会社や銀行が破綻した場合に保証される金額は、破綻時点の補償対象契約の責任準備金等の90%までとされています。
責任準備金とは、学資保険を運営する銀行や保険会社が、契約者に確実に保険金を支払うために積み立てた金額のことを言います。
したがって学資保険の補償は、破綻した時点で責任準備金がどれだけ積み立てられているかがカギとなります。
満期金など補償金額がいくらになるのかは、破綻時に確認しないとわかりません。
ただし破綻時の補償金額は、経営が順調な時の補償金額に比べれば少なくなることは確実です。
保険会社や銀行が破綻することはなかなか考えにくいですが、安全に学資保険を利用し続けるならば、破綻する可能性が低い会社・銀行選びが大きなポイントです。
保険会社の格付けやソルベンシーマージン比率(災害など不測の事態が起きたとき、どれだけの支払い余力があるかを示した比率)といったデータを利用して、安全性の高い保険会社を選びましょう。
ソルベンシーマージン率は財務の健全性を示す指標となり、大きいほど財務が健全である証明となります。
なお、ソルベンシーマージン率が200%を下回ると、その企業は行政指導の対象となります。
保険会社の格付けでは複数の調査機関によって評価が出され、売上高・営業利益・ソルベンシーマージンを元にランクがつけられます。
格付け評価は最高が「AAA」とされ、B・C・Dまでのアルファベットによって分けられます。
また同じアルファベットの中で差を出すときは、+と-によって違いを出しています。
格付けでA以上の評価を得ている保険会社であれば、学資保険を利用するにあたって信頼性が高い企業とされています。
インフレに弱い
学資保険の金利は固定金利であり、景気変動の影響を受けることはありません。
したがってデフレ(物価下落)の時には金利低下による損失を防ぐことが出来ますが、インフレ(物価上昇)による金利上昇の恩恵を反映できないのです。
預金の場合は金利が上昇すると受け取れる利益が増えますが、学資保険は金利が変化しないため受け取れる満期金は変わりません。
学資保険の満期金を受け取れるのは、契約から20年前後。
その時に景気がどう変化しているのかは、予測が非常に難しいものです。
将来インフレが起きたとき、学資保険で備えた資金が足りなくなる可能性も否定できません。
子供の教育費は、どんな進路を選ぶかで目安の金額が変化します。
平成28年度に文部科学省が行った子供の学費調査によると、幼稚園から高校(全日制)までをすべてを公立で通った場合の教育費は、およそ150万円とされています。
この費用は給食費や学校外活動費も含めた算出であり、大学や専門学校に進学する場合はさらに学費が上乗せさせることになります。
私立の幼稚園や学校に通う場合はより多く学費が必要となりますから、教育費の蓄えは多く用意しておきたいものです。
大学や専門学校の学費は、国立・私立はもちろん進学する学部によっても大きく異なります。
国立大学の授業料は文部科学省によって標準額,が定められており、標準額の20%までなら増額が認められています。
文部科学省によると、平成28年度までの試算では4年生大学に通った場合の目安学費が242万5,200円、6年生学部に通った場合の目安学費は349万6,800円と提示されています。
私立大学や専門学校の場合は、進学先によって必要な学費が異なります。
初年度の費用だけで見る目安学費は私立文系で74万,6944円、理系で131万1199円となっていて、文系と理系だけで比較しても大きな差があることが分かります。
この費用は入学金と授業料を合計したものなので、施設の設備費や実習費・留学費といった経費を加算して考えると、もっと多くの学費が必要になります。
また大学の場所によっては実家を出て一人暮らしを続けるケースもあるため、子供の生活費も上乗せされることも考えられます。
大学や専門学校の受験料も教育費として考える必要があるため、教育費として考える支出はかなり幅広くなります。
インフレになれば、大学・専門学校の受験から入学・卒業までに必要な費用も一気に跳ね上がります。
インフレ対策を行うなら、学資保険以外の方法を検討するのが得策です。
教育資金の準備だけじゃない!学資保険のメリットとは?
学資保険の主な目的は教育費の備えですが、それ以外にもメリットが存在します。
ここからは、学資保険のメリットに関して解説していきましょう。
子供の教育費と医療費の備えができる
毎月決まった金額を積み立て、そのお金を自由に引き出せない学資保険は、貯蓄性の高さに優れています。
契約内容に医療保障を付けておけば、子供の入院・手術が必要になったときの備えができますし、子供が何らかの損害を他者に与えた場合の個人賠償責任も、学資保険の特約として付けることが出来ます。
子供の医療費は自治体による支援も受けられますが、その内容は自治体によってばらつきがあります。
厚生労働省の調査によると、平成29年度4月1日の時点で見る子供への医療費助成は入院・通院共に就学前までとしている自治体が最も多く、所得制限や一部自己負担が必要なケースが多くありました。
市町村別で見た場合では15歳の年度末までが最も多く、所得制限や一部自己負担がない自治体が多かったです。
病気やけがはいつ発生するか分からないものであり、場合によっては高額の治療費が必要なこともあります。
そんな時、自治体や国の公的医療保険とは別の備えを用意しておけば、家計への負担も抑えられるでしょう。
契約者が死亡した場合は保険料の支払いが免除される
契約者である親が死亡した場合や、病気やケガが原因となる障害で保険料の支払いが出来なくなった場合は、保険料の支払いが免除されます。
この制度は保険料免除特則と呼ばれます。
保険料免除特則を利用すれば満期金は契約時と変わらず受け取れるため、親に万が一のことがあっても子供の教育資金を残せる点が、学資保険の大きなメリットです。
保険料免除特則が当てはまる病気や障害の程度は、保険会社のプランによって詳細が異なります。
一般的には、三大疾病(がん・脳卒中・急性心筋梗塞)にかかったときや日常生活に大きな影響を与える障害を負った場合は、保険料免除特則が適用されます。
保険料免除特則は任意での追加となり、契約者の年齢や健康状態の確認が必要となる点にご注意ください。
学資保険で準備できる親の死亡や重度障害への備えには、育英年金もあります。
育英年金を特約でつけると、親の死亡や重度障害が発生した時期から満期になるまで一定の年金を受け取ることが出来ます。
育英年金を利用していても保険金の支払い免除は続き、祝い金・満期金は予定通り受けられるため万が一の時の備えとして期待が持てますね。
払った保険料以上のお金を受け取れる場合もある
返戻率(へんれいりつ)とは、払った保険料の総額に対してどの程度の保険金を受け取れるかを表した数字です。
返戻率が100%以上なら払った保険料よりも多くお金を受け取れますが、返戻率が100%以下だと払った保険料の方が多くなり、損をしてしまいます。
なお返戻率は、満期金と祝い金を足した金額÷保険料の総額×100という計算式で導き出せます。
2019年現在で展開されている学資保険の返戻率は、タイプによって違いますが100%~105%ほどあるプランもいろいろあります。
学資保険のプランによってはこの数字よりも大きな返戻率になる場合もありますし、返戻率が100%以下になる場合もあります。
学資保険を選ぶとき、満期で受け取れる金額を重視したなら返戻率が100%を超えるプランを選びましょう。
更なるメリット?学資保険と合わせて利用できる公的制度
学資保険を利用していると、特定の公的制度を利用できるようになります。
公的制度を利用すれば保険料の出費を抑えたり、必要な教育費をすぐに工面できたりするといったメリットもあるため、制度の内容を知っておきましょう。
学資保険に加入すると税額控除を受けられる
学資保険に加入している場合、確定申告における生命保険料控除を利用できます。
生命保険料控除には生命保険・介護医療保険・個人年金も含まれるため、学資保険と合わせて最高12万円まで控除を受けられます。
控除の対象となるのは、払った保険料の総額から剰余金や割戻金を引いた「支払保険料等」と呼ばれるものです。
この金額によって、控除額が異なります。
また生命保険料控除では、平成23年12月31日以前に結んだ契約を「旧契約」と呼び、平成24年1月1日以降に結んだ契約を「新契約」と呼びます。
旧契約と新契約では控除の計算式が異なるため、生命保険料控除を利用するときは保険ごとの契約日を確認してください。
控除対象の保険の中に旧契約と新契約の両方に加入している保険がある場合は、旧契約と新契約のうちどちらか一方を控除に選ぶか、両方とも控除に含めるかを選択できます。
旧契約と新契約の両方を控除対象にする場合、控除金額は最高4万円となるので注意してください。
契約者貸付制度を利用できる
契約者貸付制度とは、学資保険の加入を継続しつつ保険会社からお金を借りられる制度のことです。
契約者貸付制度を利用できるのは契約者のみで、利用する時点の解約返戻金の70~90%程度の金額を借りることができます。
したがって、学資保険に長く加入している人ほど借りられる金額も増えていきます。
契約者貸付制度を利用するときは、返済計画を綿密に立てて早めに返済するのが得策です。
契約者貸付制度の利息は複利となっていて、借りたお金とそれまでにかかった利息を足した金額に利息が付く仕組みとなっています。
したがって、返済期間が長引くと最終的な返済金額も増えてしまうのです。
しかも、満期金を受け取るまでに返済が終わらなかった場合は、満期金から残りの返済額を引かれてしまいます。
長期間返済をしなかった場合は学資保険が失効するペナルティがあるため、契約者貸付制度で借りるお金は最小限にとどめておきましょう。
契約者貸付制度を利用するときは、銀行や保険会社の審査を受ける必要があります。
審査には保険証書と契約者本人であることを示す身分証明書、印章3点が必要です。
契約者本人が審査を受けられない場合は、委任代理人による手続きも可能です。
委任代理人が審査を受けるときは、委任状・委任代理人の身分証明書と印章・委任代理人の印鑑登録証明書の4点が必要となります。
審査に通って貸し付けが受けられる場合、利率は学資保険の予定金利に1~2%の数字を上乗せした数値で計算されます。
契約者貸付制度の借り入れや返済には、専用のカードが発行される場合があります。
なお、契約者貸付制度で借り入れをすると約1週間後に現金が振り込まれるため、すぐにお金を借りられるわけではない点に気を付けてください。
学資保険に入らないほうが良いのはどんな人?
学資保険のデメリットから考えると、次の条件に当てはまる場合は、学資保険に入らないほうが良いと言えます。
- すでに十分な資産が用意してある
- インフレに備えておきたい
- 自由にお金の出し入れができる資金を用意したい
学資保険の返戻率はあまり高くなく、金利も固定されているのでインフレの時に受け取れるお金が限られてしまいます。
また、積み立てたお金を任意のタイミングで引き出せない点を不自由に感じるときは、学資保険以外の手段で教育資金を準備したほうが良いでしょう。
低解約返戻金型保険を利用する
低解約返戻金保険は、毎月支払う保険料を安くする代わりに保険料が払い終わる前の解約でもらえる辺戻金を低くした生命保険です。
一般的な生命保険は契約者が死亡した際に補償金が支払われるもので、解約返戻金は存在しません。
しかし低解約返戻金保険の場合は解約返戻金が存在するため、任意のタイミングで保険金を受け取ることが出来ます。
低解約返戻金保険は補償が一生続く終身型・補償が一定期間に限られる定期型に分かれていて、それぞれで特徴が異なります。
終身型は保険料が高めであり、保険料の払い込みが終わった段階で解約すると辺戻金が増える仕組みです。
一方定期型は保険料安くなっていて、保険料の払い込みが終わったある一定の期間で辺戻金が増える仕組みとなっています。
終身型は辺戻率が高い時期が続きますが、定期型はある時期を過ぎると辺戻率が下がってしまいます。
したがって定期型の低解約返戻金保険を利用するときは、返戻率が最も高くなるタイミングで解約しましょう。
低解約返戻金保険の最大のメリットは、保険料さえ払い終わればまとまった保険料を受け取れる点にあります。
保険料を払い終わる前に解約すると辺戻金が少なくなる点は学資保険と同じですが、学資保険の場合は祝い金など、決まったタイミングでしかお金を受け取れません。
しかも満期が固定されてしまうため、まとまった保険金を受け取れるまで時間がかかってしまいます。
一方低解約返戻金保険の場合は、満期を好きな時に決められます。
保険料の払い方次第では早くにまとまった教育資金を手に入れられますし、保険の一部を解約して残りを引き続き積み立てていくという使い方もできます。
加入できる時期で見ても、低解約返戻金保険の方がずっと早く加入できます。
学資保険は早くても妊娠中からですが、低解約返戻金保険は妊娠前から加入することが可能です。
例えば早くから教育資金の準備をしたいと考えたとき、結婚してすぐに低解約返戻金保険に加入して保険金を積み立てていくという使い方も可能です。
契約者が死亡または高度の障害を負った場合の補償に関しても、低解約返戻金保険のほうが早く保険金を受け取ることが出来ます。
一方学資保険の場合は、保険料の免除はあっても保険金を受け取れるわけではないため、祝い金をもらえる時期や満期を待たなくてはなりません。
金銭的な補償が早く受けられる点では、低解約返戻金保険のメリットがとても大きいです。
個人年金保険を利用する
個人年金保険は、一定の年齢になったときに保険金を受け取れるタイプの保険です。
国が運営する公的年金とは別に個人が年金の積み立てを行うことで、一定の資金を備えることが出来ます。
個人年金保険は、保険金を円で積み立てる円建て個人年金保険・外貨で積み立てる外貨建て個人年金保険・積み立てを「特定勘定」として管理する変額個人保険の3種類があります。
特定勘定とは、運用次第で給付金が変わる保険の資産を運用するときに他の資産と区別しておく分の資金であり、投資信託などで導入されています。
個人年金保険のうち円建て個人年金保険に関しては、保険料の値上げや予定利率(契約者に約束する運用利回り)の低下の影響を受けて、契約者が受け取れる保険金が減少しつつあります。
そのため個人年金保険の選択肢は、外貨・変額個人保険に多く集まっています。
外貨・変額個人保険では海外の為替の変動が大きく影響するため、円建て個人年金保険よりも多く保険金を受け取れる場合があります。
なお保険の運用に使える外貨は、米ドル・豪ドル・ユーロなどがあります。
外貨を運用に使う個人年金保険の場合は、円高・円安の変動をこまめにチェックする必要があります。
外貨で積み立てた分を日本円に変換するとき、円高の時は受け取る年金が少なくなりますが、円安の時は受け取る年金が増えることを覚えておきましょう。
個人年金は、保険金の受け取り方でも分けることが出来ます。
被保険者が死ぬまで保険金を受け取れる終身年金・決められた期間だけ保険金を受け取れる確定年金と有期年金が存在し、それぞれに長所・短所が存在します。
終身年金では保証期間が長期間続く代わりに保険料が高く、確定・有期年金では保証期間が限定される代わりに保険料が安くなっているのが特徴です。
確定年金では保険金の受取期間を5~15年で設定し、受け取り期間中に被保険者が死亡した場合でも保険金を受け取ることが出来ます。
一方有期年金では、保険金の受け取り期間中に被保険者が死亡すると保険金が受け取れなくなってしまいます。
ただし、終身・確定タイプと比べると保険料が安いため、保険料の出費を抑えたいときは有期タイプが向いています。
▶学資保険の代わりに個人年金は活用できるのか?学資保険と個人年金を比較!
変額保険を利用する
変額保険とは保険会社が自社の資産を株式や投資で運用し、その成果次第で受け取れる保険金が変化するタイプの保険です。
運用の成果が悪かった時は満期保険金や解約辺戻金が減少しますが、死亡・高度障害保険金に関しては最低保証額を下回ることはありません。
変額保険金の受け取り方は終身・有期の2通りから選択できます。
終身タイプは補償が一生続き、有期タイプは補償期間が限定されています。
変額保険は他の保険商品と比べて毎月の保険料が安く、運用がうまくいけば受け取る保険金を増やせるメリットがあります。
また変額保険では、外貨が運用に使われる場合もあるためインフレに強い側面があります。
インフレが起きて日本円の価値が下がってしまった場合、外貨を運用に回していれば損失を抑えることが可能です。
学資保険のデメリットであるインフレ時の利益低下に備えるとき、変額保険の活用は有効な手段ですね。
ジュニア・積み立てNISAを利用する
ジュニアNISAは0歳から19歳までの未成年者が投資用の口座を持てる制度で、設立した口座は二等親以内の親族が管理することになります。
ジュニアNISAは2016年~2023年まで投資が可能であり、投資期間終了後も20歳までなら非課税で資産を保有できます。
20歳以上の成人が利用できるNISAでは、年間投資のうち120万円までが非課税となります。
一方ジュニアNISAでは、年間80万円までの投資が非課税となります。
年間で余った非課税枠は翌年へ持ち越せず、次の年はまた80万円までの非課税枠が当てられます。
ジュニアNISAの非課税は最長で5年間続き、非課税期間が終了した後は新たな非課税枠へ移動できます。
なおジュニアNISAで得られた利益は、子供が高校三年生となる年度の12月31日まで引き出すことが出来ません。
もっと長く投資を続けたい時位は、20歳以上から利用できる積み立てNISAを利用しても良いでしょう。
積み立てNISAは2018年から2037年まで利用可能で、年間40万円までの投資が非課税対象となります。
非課税枠が余った場合は、ジュニアNISA同様翌年への持ち越しはできません。
また積み立てNISANの非課税期間は最長で20年間となっていて、この期間を終了すると一般口座や特定口座へ移行されます。
積み立てNISAは一般NISAと併用が出来ないため、すでに一般NISAを利用している人が積み立てNISAを始めるときは、一般NISAの口座を取り消す必要があります。
ジュニア・積み立てNISAは学資保険よりも高い利益が期待できるうえ、積み立てる金額やペースも自分で決めることが出来ます。
積み立ての金額を抑えつつ利益を出したいときは、ジュニア・積み立てNISAの利用を検討しても良いでしょう。
ジュニア・積み立てNISAを利用する場合、景気の動向によっては元割れ(投資した金額よりも利益が減ってしまうこと)を起こす可能性もあるため、何らかの備えを別に用意しておくのがお勧めです。
▶学資保険とNISAのメリットとデメリットを徹底比較!どちらを選ぶのがよい?
学資保険に入ったほうが良いのはどんな人?
学資保険で最大のメリットは、貯蓄性の高さです。
この点から考えると、次の条件に当てはまる人は学資保険に入ったほうが良いと考えられます。
- リスクが少ない方法で教育費を貯めたい
- 自分に万が一のことがあっても子供への備えは残したい
- 他の保険と合わせて控除を受けたい
学資保険は毎月一定の金額を積み立てていくため、年月の経過とともに確実に教育費を貯められます。
金利が固定されていて景気変動の影響を受けない点も、学資保険の魅力の魅力です。
学資保険を利用するときは保険料を抑え、返戻率を高める工夫をするとメリットを生かすことが出来ます。
早期加入で保険料を抑える
学資保険は早期加入すると積立期間が長くなるため、毎月の保険料を低くすることが出来ます。
また学資保険の多くは、子供が一定の年齢に達すると加入できなくなってしまうためなおさら早期加入が重要となります。
学資保険は加入する親の年齢にも制限があるうえ、年齢が高い人が加入すると保険料も高くなってしまいます。
加入が遅いと元割れを起こす可能性もあるため、学資保険を利用するなら早めに加入しましょう。
早期加入と合わせて行いたいのが、学資保険の保険料を支払う期間の短縮です。
学資保険の場合は保険料を支払う期間が短いほど辺戻率が高まり、満期金も増えていく傾向にあります。
学資保険に入るときは、家計の負担が増えすぎない範囲で保険料の支払期間を短く設定しましょう。
現在加入中の保険を見直す
学資保険以外に加入している保険があるときは、その保険が本当に必要なのか見直すことも重要です。
現在の収入の範囲内で保険の支出が家計を圧迫していないかをチェックし、学資保険を利用できる体制を整えておきましょう。
保険の見直しで大きなポイントとなるのは、生命保険と医療保険です。
どちらの保険も、自分に何かあったときの生活の備えとして利用する人が多い保険ですね。
生命保険と医療保険を見直すときは、プランが加入したときのままになっているかを確認しましょう。
加入から長い年月が経過している場合は、現在のライフスタイルと保険の内容がつり合わなくなっている可能性があります。
まずは保険会社に問い合わせて、現在の補償内容を確認しましょう。
生命保険を見直す場合、会社の福利厚生の中に死亡保障があるかをチェックしてください。
社員が亡くなったときに遺族へ支払われる補償があれば、生命保険の補償を減らすことも可能です。
また住宅ローンを利用している場合、団体信用生命保険という住宅ローン用の保険に加入していることがほとんどです。
ただし、フラット35を利用しているときは団体信用生命保険の加入は任意なので、団体信用生命保険の加入手続きをしていない場合は生命保険の補償を残しておきましょう。
団体信用生命保険では、契約者が死亡・高度障害状態にある場合に住宅ローンの支払いを免除する制度を備えています。
住宅ローンが残っているときは団体信用生命保険からローンの残り分が支払われるため、家族が住宅ローンを支払う負担もなくなります。
近年はがん・脳卒中・急性心筋梗塞の3大疾病のほか、糖尿病・高血圧性疾患・慢性腎不全・肝硬変も含めた7大疾病を補償対象に含めた団体信用生命保険も増えてきました。
会社の福利厚生や団体信用生命保険には、生命保険の補償と重複している補償も多くあります。
こうした重複の補償を1つに絞り込めば、保険料を減らすことが可能です。
医療保険を見直す場合、公的医療保険制度との重複がないかをチェックしてください。
日本では国民すべてに公的医療入が義務づけられていて、その補償内容も充実しています。
公的医療保険の補償内容は、6つに分けられます。
額療養費制度、護サービスに関連する費用が補助される介護保険、産時に支給される出産一時金と出産手当金、入院時に支給される傷病手当金、子供に対する医療費の助成となっています。
子供への医療費助成は自治体によって対象年齢が違うため、自分たちが住む自治体の医療費助成制度を確認しておきましょう。
医療保険を継続するのなら、公的医療保険の補償対象外になる部分の補償だけを残して保険料を減額するのが得策です。
返戻率を高める
学資保険は、加入時の親と子の年齢や保険料の支払い期間以外の要素も返戻率に影響します。
返戻率を上げたいときは、保険料の支払い方法と保障の数に注目してください。
まず保険料の支払い方法については、月払いよりもある程度の期間をまとめて払う方がトータルの保険料を抑えられます。
保険料のまとめ払いには、1年間の保険料をまとめて払う年払い・半年分をまとめて払う半年払い・保険料を全額保険会社に預ける形で支払いを行う全期前納払い・一時払いがあります。
この中で最も保険料の総額を抑えられるのは、一時払いです。
一時払いでは保険料をまとめて支払うことで以降の支払いをなくすことが出来るため、まとまったお金が用意できる場合は一時払いが最もお得です。
一方全期前納払いでは、契約時に決まった時期が来ると預けた保険金から保険料が引き落とされるため、契約した時点で保険料の支払いが完了するものではありません。
全期前納払いと一時払いを比較すると、一時払いでは保険会社が利益をまとめて獲得できる分割引も多く受けられます。
支払う保険料の総額を抑えて返戻率を上げるなら、一時払いがベストです。
ただ一時払いでは税金対策ができないなどのデメリットもあります。
総合的に考えると全期前納払いの方がおすすめの場合もあります。
一気にまとまったお金を用意するのが難しい時は、半年払いや年払いを利用すると、月払い時よりは保険料も返戻率もお得となります。
学資保険の返戻率を高めたいなら、保障の数を減らすことも有効です。
補償の数を減らすと保険料も減らすことが出来るため、最終的な辺戻率も高められるのです。
学資保険の保障には医療や賠償に関する保障がありますが、医療保障であれば公的医療保険や子供向けの県民共済で対応することも可能です。
また学資保険の医療保障には細かな条件が定められているため、辺戻率を重視するなら医療保障を付けずに契約しても良いでしょう。
また第二子以降の学資保険なら、先に生まれた子供と同じ学資保険に加入すると兄弟割引が適用される場合もあります。
兄弟割引を使うときは契約者が同じであることが条件なので、学資保険の管理を一元化したいときはきょうだい割引を使うと便利です。
学資保険は子供の教育費を貯める手段の一つです
学資保険は子供の教育費を貯める手段の一つであり、必ずしも利用する必要はありません。
学資保険を利用するか・他の手段に切り替えるかは、現在の家計の状況や資産を把握したうえで決定しましょう。
学資保険を利用するときは補償内容と返戻率のバランスを大切に、学資保険を利用しないときは資産運用のリスク対策を入念に行えば、教育費の貯蓄体制が整えられます。
まずは子供一人にあてる教育費の目標金額を決め、そこから逆算して学資保険の保険料・収入からの貯蓄額を決定しましょう。