高等学校までの必要な教育資金
まずは子供を学校に通わせるためにどうしても必要になる費用を紹介しましょう。
ここに含まれるものは、「学習費総額」と呼ばれるもので、入学金や授業料をはじめ制服・教科書の費用、遠足・修学旅行の費用など、学校に対して支払うお金をすべて含めたものです。
したがって、習い事や学習塾など任意で発生する「学校外教育費」は含まれていません。
なお、以下で紹介する幼稚園から高等学校までの費用は、文部科学省の「平成28年度子供の学習費調査の結果」を元にしています。
この調査は、子供を公立又は私立の幼稚園、小学校、中学校、高等学校(全日制)に通学させている保護者が、子供の学校教育及び学校外活動のために支出した1年間の経費の実態をとらえたもので、内訳に含まれる内容は次のとおりです。
※給食費については提供しない学校もあるため、別途記載しています。
幼稚園にかかる年間学習費総額の詳細
公立幼稚園の年間学習費総額:120,546円
【内訳】
授業料 | 62,049円 |
修学旅行・遠足・見学費 | 2,031円 |
学校納付金等 | 13,725円 |
図書・学用品・実習材料費 | 8,576円 |
教科外活動費 | 641円 |
通学関係費 | 23,400円 |
その他 | 10,024円 |
私立幼稚園の年間学習費総額:318,763円
【内訳】
授業料 | 215,933円 |
修学旅行・遠足・見学費 | 3,895円 |
学校納付金等 | 43,000円 |
図書・学用品・実習材料費 | 10,606円 |
教科外活動費 | 1910円 |
通学関係費 | 33,791円 |
その他 | 9,628円 |
小学校にかかる年間学習費総額の詳細
公立小学校の年間学習費総額: 60,043円
【内訳】
授業料 | 0円 |
修学旅行・遠足・見学費 | 6,738円 |
学校納付金等 | 10,135円 |
図書・学用品・実習材料費 | 19,049円 |
教科外活動費 | 2,714円 |
通学関係費 | 17,574円 |
その他 | 3,833円 |
私立小学校の年間学習費総額:870,408円
【内訳】
授業料 | 461,194円 |
修学旅行・遠足・見学費 | 41,797円 |
学校納付金等 | 226,022円 |
図書・学用品・実習材料費 | 30,923円 |
教科外活動費 | 12,512円 |
通学関係費 | 89,317円 |
その他 | 8,643円 |
中学校にかかる年間学習費総額の詳細
公立中学校の年間学習費総額:133,640円
【内訳】
授業料 | 0円 |
修学旅行・遠足・見学費 | 25,038円 |
学校納付金等 | 13,994円 |
図書・学用品・実習材料費 | 23,839円 |
教科外活動費 | 31,319円 |
通学関係費 | 35,914円 |
その他 | 3,536円 |
私立中学校の年間学習費総額:997,435円
【内訳】
授業料 | 425,251円 |
修学旅行・遠足・見学費 | 74,169円 |
学校納付金等 | 261,545円 |
図書・学用品・実習材料費 | 37,689円 |
教科外活動費 | 57,008円 |
通学関係費 | 135,961円 |
その他 | 5,812円 |
高等学校にかかる年間学習費総額詳細
公立高等学校の年間学習費総額:275,991円
【内訳】
授業料 | 23,368円 |
修学旅行・遠足・見学費 | 34,892円 |
学校納付金等 | 49,762円 |
図書・学用品・実習材料費 | 40,662円 |
教科外活動費 | 44,276円 |
通学関係費 | 79,157円 |
その他 | 3,874円 |
私立高等学校の年間学習費総額:755,101円
【内訳】
授業料 | 271,835円 |
修学旅行・遠足・見学費 | 54,096円 |
学校納付金等 | 228,864円 |
図書・学用品・実習材料費 | 41,636円 |
教科外活動費 | 44,764円 |
通学関係費 | 109,048円 |
その他 | 4,858円 |
中学校までの年間の給食費
公立 | 私立 | |
幼稚園 | 20,418円 | 29,924円 |
小学校 | 44,441円 | 44,807円 |
中学校 | 43,730円 | 8,566円 |
高等学校までの学校外教育費の詳細
「学校外教育費」については、必須の費用ではありません。
極端な話、全くお金を使わずにすませることも可能ですが、お子さんの才能を伸ばしてあげたいと思うのは親心でしょう。
参考までに、どのくらいの費用をよそのご家庭は捻出しているのかについての目安として、前出の「平成28年度子供の学習費調査の結果」からピックアップしてみましょう。
年間の学校外教育費
公立 | 私立 | |
幼稚園 | 92,983円 | 133,705円 |
小学校 | 217,826円 | 613,022円 |
中学校 | 301,1840円 | 320,932円 |
高等学校 | 174,871円 | 285,067円 |
学校外活動としては以下のようなものが行われています。
- 補助学習費
- その他の学校外活動費(体験活動・地域活動)
- その他の学校外活動費(芸術文化活動)
- その他の学校外活動費(スポーツ・レクリエーション活動)
- その他の学校外活動費(教養・その他)
「補助学習費」とは、いわゆる学習塾や家庭教師のほか、通信教育費や自習用教材費などのことです。
「その他の学校外活動費」とは、お稽古ごとやスポーツクラブなどのほか、夏休みの体験活動なども含まれています。
幼稚園では「その他の学校外活動費(スポーツ・レクリエーション活動)」に対する支出が「補助学習費」を上回っています。
小学校でも「その他の学校外活動費」が「補助学習費」を上回っていますが、「その他の学校外活動費」における内訳は、公立小学校では「スポーツ・レクリエーション活動」に対する支出が多く、私立小学校では「芸術文化活動」への支出が最多となっています。
小学校の学校外活動を細かくみていくと、公立では6学年以降、私立では5学年以降において,「補助学習費」の割合が「その他の学校外活動費」の割合を上回るようになります。
つまり中学入学が近づくと、お稽古ごとよりお勉強に力点が移るということです。
中学校になると「補助学習費」が「その他の学校外活動費」を上回り、公立中学校の方が私立中学校より支出が多くなっています。
高等学校になると、「学校外活動費」のほとんどを「補助学習費」が占めるようになります。
これらを総合的に鑑みると、お稽古ごとやスポーツクラブは途中で止めてしまうケースが大半ということが分かります。
つまり、「その他の学校外活動」はあくまでも趣味的な位置づけと考えて差し支えなく、お子さんの将来に不可欠なものでなければほどほどにしておき、浮いた費用を大学進学費用としてキープしておいたほうが有意義といえます。
大学の必要な費用の詳細
大学の必要な費用は、幅が大変大きくなっています。
国公立か私立かだけでなく、学部や自宅から通えるかで大きく変わってくるからです。
大学で必要な入学金と授業料
まずは絶対に必要な入学金と授業料を紹介します。
なお、公立大学と私立大学の額は学校や学部でバラツキがあるため平均をとっていますが、公立大学の入学料は地域外からの入学者の平均を採用しています。
入学金 | 年間授業料 | |
国立大学 | 282,000円 | 535,800円 |
公立大学 | 393,618円 | 538,633円 |
私立大学 | 252,030円 | 900,093円 |
このほか、施設設備費も必要となりますが、国公立大学では徴収しないところもあるようです。
国公立大学の学費は学部による差は見られませんが、施設設備費においては一般的に文系学部より理系学部や医学部は高額となります。
金額的には、数千円から15万円までとかなりの差があります。
私立大学では、学部によって入学金・授業料・施設設備費とも大きな差があるため、以下に詳細を提示します。
私立大学の入学から卒業までの総費用は以下のとおりです。
- 私立大学文系(4年):396万5,807円
- 私立大学理系(4年):539万8,765円
- 私立大学医学部(6年):2,337万4,212円
通学費用については通常学割を利用することができますが、新幹線を利用する場合には学割はなく通勤定期扱いとなります。
また、公共交通機関が整備されていない地域にある大学では、自家用車で通学することも珍しくありません。
大学が遠方になると通学時間もバカにならず、下宿を選択して浮いた時間にアルバイトをしたほうが安くなるかもしれません。
特に大学に寮がある場合ならなおさらです。
下宿を選択する場合の平均的費用を以下に上げていますが、女子の場合はセキュリティを重視する必要があるため、平均より高めになる傾向があります。
生活準備品については入居先に備え付けられている場合もあるため、購入前によく確認されることをおすすめします。
また、先輩から譲ってもらったり自宅にあるものを活用したりすれば、かなり安くすることが可能です。
敷金・礼金 | 197,800円 |
家賃 | 62,000円 |
生活用品準備費用 | 312,500円 |
このほか、教科書・テキスト代をはじめゼミ研修費などの実習費用があります。
大学の教科書・テキストは専門書となるため結構高額で、とくに医学薬学系の書籍はかなりの費用が必要となります。
見落としがちな受験料に注意!
公立中学までは受験しなくても入学できますが、高校からは公立・私立を問わず入学試験を受験しなければなりません。
受験するには受験料が必要となるため、費用の目安を紹介しましょう。
大学では多くの学生が5~7校を受験します。
国公立前期・後期に加え、滑り止め私立を3校受験した場合、受験料の合計金額は約16万円です。
願書を郵送する場合は、1通に付き710円(簡易書留・速達)の郵送料がかかり、受験料の振込(3万円以上の他行口座へ窓口にて)に振込手数料が864円かかります。
これに加え、交通費や遠方の場合には宿泊費なども必要となりますが、大学周辺の宿泊施設には受験生が殺到するため、高いホテルにしか空きがないことも考えられます。
さらに、大学に合格した場合、指定された期限までに入学金と前期授業料を納付しなければ合格を取り消されてしまうため、数十万円単位のお金が必要となります。
なおいったん納付した入学金は、入学しなくても払い戻しはされません。
つまり、大学受験から入学までの短期間に100万から200万円のお金が消えていくのです。
幼稚園や小学校の受験料
私立の幼稚園や小学校の場合には受験料が必要となりますが、高くても1校あたり2万~3万円程度です。
しかし、受験に合格するためには塾(幼児教室)に通っていないと難しいのが現状です。
塾では、一般的には知られていない受験の傾向や合格するための秘訣などをレクチャーしてくれるためです。
受験で行われる面接は子供だけでなく両親もいっしょであることが多いため、衣装代もかさみます。
参考までに私立小学校の受験費用の相場を挙げておきましょう。
- 幼児教室代 約70万円(入会金・月謝・教材費など1年分)
- 受験料 2万円~5万円
- 受験用スーツ 10万円~20万円(親子合わせて)
- 受験用バッグなど 5万円~10万円(親子合わせて)
- 願書用写真代 約1万円
小学校の受験にこんなに必要なの?と思われるかもしれません。
そもそも私立小学校に通わせるためには年収1,000万以上なければ厳しいとされています。
お子さんにできるだけよい教育を受けさせたいと考えるのは当然の親心ですが、特別な教育は私立中学からでも遅くはありません。
教育資金は計画的に準備すれば大丈夫
大学までの実際に必要な教育資金について公立・私立のパターン別に、費用の内訳だけでなく付随する諸費用などについても細かく紹介しました。
こんなにいるの?と不安に思われたかもしれませんが、これらの費用全てが一度に必要となるわけではありません。
お子さんが学業を修了するまでには20年近くの歳月がかかるため、計画的に教育資金を準備していけば大丈夫です。
そのためには、いついくら必要になるのかを知っておく必要がありある程度の把握をしておきましょう。
記事の内容を参考になさって、お子さんに最適な教育を無理なく受けさせていただければ何よりです。