学資保険と定期預金を比較
子供の将来に備えておきたい教育資金。子供を22歳まで養育するのに、一人当たり1500万円以上が必要といわれています。
特に一番お金がかかる大学の入学・進学時には、100万円単位の教育資金が必要となります。
子どもの将来の学業のために、早い段階から貯蓄して、準備しておきたいものです。
教育資金を貯蓄していくと考えたとき、学資保険と定期預金の方法が頭に浮かぶ人が多いと思いますが、実際、どちらの方がうまく学資金を貯蓄していけるのでしょうか。
学資保険と定期預金のメリット・デメリットを比較し、教育資金を上手く貯蓄していけるようご紹介いたします。
学資保険と定期預金の違いについて
学資保険
学資保険は貯蓄型の「保険」で、主に保険会社が扱っています。
貯蓄しながら万一に備えた保障が受けられ、契約者と受取人を別にした加入ができます。
保険料は月々の支払いが可能で、家計への負担を抑えることができます。
満期まで保険金を運用することにより、支払った保険料よりも「増額した返戻金」を受け取ることができます。
学資保険は「長期継続型」の貯蓄になります。
定期預金
定期預金は、主に銀行などの金融機関に「まとまったお金」を、期間を定めて預け入れる預金を指します。
保険と違い健康状態に関係なく、いつでも加入することができます。
自動解約に設定しておけば、満期を迎えた定期預金は自動的に解約され、普通預金の口座に移されます。
定期預金といっても、短いものでは1カ月間の商品もあり、ライフスタイルに合わせた貯蓄ができます。
学資保険のメリット
学資保険には返戻率が高いプランがある!
学資保険の最大の魅力は、何と言っても高い「返戻率」です。
学資保険の返戻率は一時期よりも下がったといわれ、元本が割れる商品もありますが、まだまだ高い水準を保った人気の学資保険もあります。
保険会社が扱う「高い返戻率」が人気のプランから、一部を紹介します。
被保険者年齢:0歳 契約者年齢:30歳男性 受取学資金200万円の場合のシミュレーション
上記の表は、保険料を月払い2万円まで、返戻率を105%以上のプランをご紹介しています。
またこれらの返戻率が高いプランは月払いの場合の返戻率であり、これを年払いにすれば、さらに高い返戻率となります。
実はもっと返戻率が高いプランもあります。
日本生命の「ニッセイ学資保険 こども祝金なし型」は払込期間を早い5歳に設定すれば、返戻率は107.8%です。
しかし月々の保険料が32.452円と高額になってしまい、条件をそろえる為、上記には含んでいません。
今現在確認できている、さらに高い返戻率のプランは、明治安田生命の「つみたて学資」を受取総額300万円と設定したプランが、高額割引適用となり、年払いにした場合、109.0%という高い返戻率となるのが確認できています。
このつみたて学資のプランは、無配当こども保険のプランでも、10歳までに払込すれば、月払い15.910円の返戻率が104.7%あり、それを年払いすれば、107.9%と高い返戻率のプランとなります。
学資保険には保障が付く
学資保険は貯蓄という目的にプラス保障があります。
契約者に万一のことがあった場合は、保険料が免除されるメリットがあります。
保険料が免除されるため、満期金や祝い金は、契約通りそのままの金額を受け取ることが可能となります。
縁起でもないことは考えたくありませんが、契約者に万一のことがあっても、大学進学を諦めることなく、教育資金が用意できるのです。
契約者の万一は勿論ですが、三大疾病に対応した保障や、お子さまの万一にも保障が付くプランもあります。
お子さまに万一のことがあった場合でも、満期時と同額の後遺症および死亡の保障が支払われる保険もあります。
但し、保障を特約として多く付けた場合は、運用する保険金が減り、返戻金が元本割れする可能性もあります。
豊富なプランから選択できる
学資保険には様々プランがあり、お子さまの入学・進学に必要な年齢に合わせ、教育資金を受け取ることができます。
小学校・中学校・高校・大学それぞれの入学や進学時に教育資金が必要な場合、設定した年齢にお金を受け取れる「祝い金付・学資保険」があります。
例えば、受取総額が200万円、満期を20歳に設定した「祝い金付」保険に加入したとします。
満期20歳の受け取りが100万円、それぞれの入学・進学に祝い金が出る設定にした場合は、次のようになります。
小学校入学前 | 5万円 |
中学入学前 | 5万円 |
高校入学前 | 10万円 |
大学入学前 | 80万円 |
20歳(満期) | 100万円 |
受け取った総額が「200万円」となり、満期日までに「4回」祝い金が支払われることになります。
さらに祝い金付学資保険は、満期までに数回保険金が支払われる祝金を、不要な時は受け取らず「据え置き」することも可能です。
据え置くことで保険金が運用にまわり、更に返戻金が高くなります。
また大学進学をメインにした学資保険「年金型」は、22歳を満期に設定した場合、大学の入学・進学時の18歳から22歳の間に、一年毎・分割で学資資金を受け取ることができます。
例えば、受取総額が300万円、受け取り開始年齢が18歳の「年金型」保険に加入した場合は次のようになります。
18歳 | 100万円 |
19歳 | 100万円 |
20歳 | 100万円 |
計3回に渡り、総額300万円の教育資金を受け取ることができます。
もちろん満期日まで1円も受け取らず、保険金を運用する学資保険もあります。
お子さまの教育資金が必要になる年齢は、実際直面してみないことには判断できません。
そのため入学・進学に受け取るべきか迷います。
しかし、いらない時は「据え置き」して、貯蓄を増やすことができるのが、学資保険のメリットです。
このように学資保険は、お子さまの成長に合わせた受け取りができる「豊富なプラン」が揃っています。
学資保険は、月々の支払いをしながら積立できる
定期預金は一定額の「まとまったお金」を預け入れる商品ですが、学資保険は月々の支払い(分割払い)が可能で、家計の負担を抑えることができます。
お子さまが小さな時に、百万円単位のまとまったお金を用意するのは大変です。
学資保険の保険料は、月々の支払いが可能になるため、継続的に無理のない貯蓄ができます。
ソニー生命の学資保険「学資保険Ⅲ型」は、支払いを月々にして、10歳までに払い込みが終わった場合、返戻率が「約105.5%」となります。
一括は無理でも月々でしたら「払えそう」という方に向いています。
また月々の支払いですと、子供手当を保険料に利用することもでき、ご家庭の収入や状況に応じた設定ができます。
保険料は契約時に指定した金融口座から「自動的」に引き落としになるため、毎月銀行で積み立てをするのが面倒臭い。
入金を忘れそう。という方には安心なシステムです。
コツコツ貯めることが苦手な方でも、継続した貯蓄ができます。
学資保険のデメリット
学資保険は途中解約すると元本割れする
学資保険は途中で解約した場合、元本割れすることがあります。
元本割れとは、解約するまでに支払った保険料の「総額分」より、受け取る金額が少なくなることです。
払った総額より受け取る金額が少なくなるのは、「損」をすることになるのです。
学資保険は長期間運用することにより、お金を増やす「貯蓄型の保険」です。
せっかく貯めた教育資金が、元本より少なくなっては意味がなくなります。
元本割れを防ぐためには、途中で解約をしないことです。
満期の途中で家計の負担が苦しくなり、「途中解約」とならないように、保険料の金額は無理のない範囲におさめましょう。
学資保険は一定期間拘束される
学資保険は長期間運用することにより、返戻金を「増やす」保険です。
長期間の運用になりますと、長い間お金を動かすことができません。
つまり預けた保険金が、拘束されることになります。
拘束期間は長くなりますが、途中解約は元本割れするため、満期まで預けることを前提に加入する保険となります。
定期預金のメリット
預金の拘束が短期
定期預金のメリットは、お金を拘束する期間が短くなることです。
定期預金の中には10年以上預金する商品もありますが、最近では1カ月の短期商品もあり、拘束期間が短いため、まとまったお金の一時運用に適しています。
最近ではネット銀行も定期預金に力を入れているため、一度口座を開設すると、店頭に行かずネット上で簡単に取引ができます。
イオン銀行の人気定期預金は、1年間で最大年0.120%の金利が付き、預金の金額が10万円から加入できます※金利は2019年2月22日に調べたものです。
オリックス銀行の人気定期預金は、1年間に最大0.200%の金利が付きます。更に5年間の定期ですと0.300%の利息がつきます。※金利は2019年2月22日に調べたものです。
またボーナスシーズンには、各銀行がキャンペーンを開き、1か月・2か月など短期間の定期預金を扱うこともあります。
途中解約しても元本割れしない
定期預金は途中解約しても元本割れしません。
定期預金の場合途中で解約しても、元本に対して付いた利息が減るだけで、元本は保証されています。
せっかく貯まった利息が減ってしまうため、満期まで続けた方が良いでしょうが、突然お金が必要になった時は、元本割れがなく安心して引き出すことができます。
まとまったお金を普通預金に入れておくより、利息がつく定期預金に預けた方が、僅かですが確実に利息は増えるでしょう。
万一倒産しても預金保険制度がある
将来的に、定期預金をしている銀行が破綻する可能性もあります。
しかし万が一破綻しても、元本を「1000万円」まで保証する「保証制度」によって、定期預金者のお金は守られます。
1000万円を超える場合であっても、破綻した銀行の財産状況によっては、超えた部分の保証を受けられるケースもあります。※特例になります。
定期預金先の銀行が倒産して「教育資金が水の泡」にならない保証制度は、大きなメリットと言えるでしょう。
定期預金デメリット
金利が低い
定期預金のデメリットは、金利の低さです。
学資保険は商品によって、最大約「109.0%」の返戻率がつきますが、定期預金は「0.300%」が最大で、貯蓄するうえで重要な「運用」の期待ができません。
またある程度まとまったお金を預け入れる必要があり、コツコツ貯める「貯蓄」には適していません。
金利が低いため、教育資金を「増やしたい」方にはおすすめできません。
契約者の万一に保障が付かない
定期預金は学資保険と違い「保険」ではないため、契約者に万一があっても「保障」がつきません。
満期日までに契約者が死亡したとしても、免除されることがないのです。
またお子さまに対しても、保障を付けるプランがないため、けがや病気・入院時の保障が受けられません。
一律源泉分離課税(20%)が掛かる
定期預金には一律源泉分離課税という税金が発生します。
一律源泉分離課税とは、定期預金についた利息に対し、国税15%、地方税5%、合計20%の税金が引かれることになります。
例えば、定期預金に100円の利息がついたとします。
100円-15円(国税15%)-5円(地方税5%)=80円
預金者が受け取る利息は80円になります。
20%の一律源泉分離課税は、預金者に代わり、銀行が国や地方に納めることとなります。
そのため預金者が申告する必要がなくなります。
学資保険と定期預金の比較まとめ
学資保険と定期預金のメリット・デメリットについて、これまでの説明を基にまとめた結果、両者を比較してみると大きな違いがありました。
学資保険のメリット | 定期預金のメリット |
返戻率が高い 保障が付く プランが豊富 月々の支払いをしながら効率的に積立できる | 預金の拘束が短期 途中解約しても元本割れしない 万一倒産しても預金保険制度がある |
学資保険のデメリット | 定期預金のデメリット |
途中解約すると元本割れする 一定期間拘束される | 金利が低い 契約者の万一に保障が付かない 一律源泉分離課税(20%)が掛かる |
低金利の時代に「教育資金を増やす」ためには、学資保険の方が優れているのがわかります。
学資保険のメリットは、やはり何といても高い返戻率です。返戻率は一時期よりも下がり、元本割れする商品も増えていますが、まだまだ高い水準を保った人気の学資保険もあります。
拘束期間が長期になりますが、月々の支払いが可能になるため、細く長く「教育資金の貯蓄」をしたい方に適しています。
教育資金は「途中解約」した場合、元本割れを起こします。
途中で解約しないよう、無理のない保険料に設定しましょう。
一方、定期預金のメリットは拘束期間が短く、元本割れの心配がないため、いつでも引き出すことができます。
しかし学資保険に比べ返戻率(利息)が少ないため、教育資金を増やすことには向いていません。いつでも解約できるので、教育資金に十分余裕がある方は、キャンペーンなどを利用して定期預金に預け、僅かですが利息を増やしてみるのも良いでしょう。