学資保険の満期とは
学資保険の満期は保険期間で決まる
学資保険の満期とは、保険期間が満了する日のことです。
学資保険を契約するときに満期年齢を決めますが、お子さんが満期年齢の誕生日を迎えて最初におとずれる契約日の前日が満期日となります。
たとえば、4月2日生まれのお子さんが9月1日に18歳満期の学資保険に加入した場合の満期日は、お子さんが満18歳になった年の8月31日です。
満期保険金が受け取れるのはお子さんの誕生日ではなく、満期日の翌日以降となる点に注意してください。
払込期間と満期は一致しないこともある
多くの学資保険では、満期まで毎月保険料を支払う契約となっています。
しかし保険によっては、支払った保険料の総額に対して受け取る保険金の割合(返戻率)を高くするため早期に保険料を払い終え、満期日まで据え置くという方式がとられているものもあります。
この場合、すでに保険料の支払いが終了していても、満期日まで満期保険金は受け取れません。
満期日までに保険金を受け取れる学資保険もある
一般的によく見られる学資保険の満期保険金は、満期時に一括して受け取るタイプのものです。
しかし「お祝い金」という形で、満期日までに分割して保険金を受け取れる学資保険もあります。
たとえば、中学校入学時や高校入学時などに、満期金の一部を先取りして受け取ることができるような学資保険です。
まとまった出費が見込まれる時期に一時金が受け取れると助かりますが、満期日まで全額据え置いたときより返戻率は下がってしまいます。
学資保険の満期金額の平均は?
満期金額の平均は200~300万円
学資保険の加入目的は、大学進学時の費用を準備するためです。
進学する学校が国公立であるか私立であるかだけでなく、学部や自宅から通えるかどうかなどで必要な金額は変わってきますが、多くのご家庭が満期金額を200~300万円に設定しています。
これは、受験費用をはじめ入学金や前期納付金など、入学時に支払わなければならない費用の平均的な金額であることから選択されているようです。
毎月の支払い保険料は1~2万円
多くのご家庭で、学資保険で毎月支払う保険料は1~2万円に設定されています。
満期までの17~18年間、途中でやめずに支払い続けるためには、無理のない金額にしておく必要があるためです。
17年間頑張れば月額1万円で200万円、1.5万円で300万円を準備できるので、月額1~2万円はとても合理的な金額でもあります。
学資保険の満期日はいつにすればいい?
お金が必要なときを満期日にしたい
満期日をいつにすればいいかについては、「お金が必要なとき」が正解です。
学資保険の満期は17歳や18歳だけでなく、15歳や22歳などさまざまなタイプがありますが、多くのご家庭が17歳か18歳満期を選択されています。
これは、一番たくさんの資金が必要になる大学入学に間に合わせるためです。
一般的に、満期金の受け取り時期を遅くするほど返戻率は高くなります。
しかし、必要な時期に資金が不足してしまい、教育ローンを借りることになれば本末転倒です。
満期日は途中で変更できないため、契約するときにじっくり検討したうえで設定していただければと思います。
早生まれのお子さんは17年満期を
早生まれのお子さんの場合、18年満期を選択すると大学受験に間に合わなくなることがあります。
進学する大学へ入学金や前期納付金を納める時期は、入学後の4月ではなく合格発表の直後です。
私立大学なら2月頃、推薦入試なら秋頃には合格発表があり、入学金などを納付しなければ合格を取り消されてしまいます。
早生まれのお子さんが学資保険で18歳満期にしていた場合、満期保険金を手にできるのは年明け以降となるため、17歳満期にされることをおすすめします。
学資保険の満期後の受け取り方
満期時に一括して保険金を受け取る場合
学資保険の満期が近づくと、保険会社から満期の通知が契約者あてに届きます。
このあと満期金の受け取り請求を行うか、保険会社の窓口に出向くかのいずれかの方法で保険金を受け取ります。
満期金の受け取り請求を行う方法
満期の通知を受け取ったら、保険会社に請求の連絡を入れます。
その後、保険会社から必要書類が届くので書類をそろえて返送すればOKです。
必要な書類は保険会社によって違いますが、おおむね以下のとおりです。
- 満期保険金請求書(署名や押印)
- 保険証券と届出の印鑑
- 身分証明証
- マイナンバーが確認できるもの
- 振込先の口座情報
満期保険金請求書には署名と押印を忘れずに行います。
マイナンバー(個人番号)の確認については、個人番号カードではなく通知カードや住民票の写しでもOKですが、個人番号カードなら身分証明証も兼ねることができます。
これらのほかに、お子さんの健康保険者証が必要になることもあるため、請求前にきちんと確認しておきましょう。
窓口で満期金を受け取る方法
保険証券や印鑑、身分証明書、マイナンバーを用意して、保険会社の窓口で支払い手続きを行います。
その他、必要になる書類がある場合に備えて、事前に電話で保険会社に確認しておけば安心です。
保険金を分割で受け取る場合
学資保険には、満期時に一括で保険金を受け取るのではなく、何度かに分けて受け取るタイプのものもあります。
17歳や18歳満期の学資保険では、小学・中学・高校それぞれの入学時に受け取れるタイプ、22歳満期の学資保険では、18歳から22歳まで5回に分けて受け取れるタイプが主流です。
満期金以外に給付される保険金は「お祝い金」や「学資金」「教育資金」などの名称で呼ばれます。
「お祝い金」という名前ですが保険会社がプレゼントしてくれるものではなく、満期金の一部前払いです。
「お祝い金」分だけ満期保険金は減ってしまううえ、返戻率も下がってしまうのでご注意ください。
なお、手続方法は一括受け取りの場合と同じです。
満期金を受け取れるのは契約者のみ
満期金を受け取ることができるのは契約者に限られます。
たとえば夫に内緒で契約して保険料の支払いも妻が全て行っていた場合であっても、契約者の名前が夫になってたら、妻が満期金の請求を行うことはできないのです。
この場合、委任状や妻の本人確認書類などが必要となりますが、保険会社によって手続きの方法や必要な書類が異なっているため、事前に確認しておきたいものです。
自動的に口座へ振り込んでくれる学資保険もある
多くの学資保険では、満期金を受け取るために別途手続きが必要です。
しかし、かんぽ生命の学資保険「はじめてのかんぽ」の場合、振込先口座をあらかじめ指定しておけば、手続き不要で満期保険金が振り込まれます。
なお指定できる振込先口座は、保険契約者名義の金融機関口座に限られているのでご注意ください。
学資保険の満期金に掛かる税金は?
学資保険に掛かる税金は所得税か贈与税
学資保険の満期金に掛かる税金は所得税か贈与税ですが、それぞれ税率が異なります。
いずれの課税対象になるかについては、契約者・被保険者(お子さん)・満期保険金の受け取り人の組み合わせで決まってくるのです。
学資保険の場合、被保険者はお子さんに確定しており、ほとんどの場合で契約者はお子さんの父親か母親となっています。
したがって問題になってくるのは、だれを満期保険金の受取人にするかです。
ここからはそれぞれについて詳しく解説していきましょう。
満期金の受取人が契約者である場合
満期金は所得税の課税対象
満期金の受取人が契約者と同一である場合、満期金は一時所得に分類されますが、満期金の全てに課税されるわけではありません。
支払った保険料を満期金から差し引いた金額が50万円の控除分を超えなければ課税対象とならないため、実際には多くのケースで非課税となります。
具体的に課税額を計算してみましょう。
返戻率が105%の学資保険で保険料を合計200万円支払うと、満期金は210万円になります。
したがって差し引きは10万円となるため、課税対象外です。
現在の学資保険で返戻率が110%を超えるものはほとんどなく、支払保険料が500万円を超えなければ、満期金と保険料の差額が50万円以上になることはまずありません。
ただし複数のお子さんがいる場合、満期金の受け取り時期が重なってしまうと差額の合計が50万円を超えてしまうことがあるため、注意が必要です。
差額が60万円になった場合、50万円を引いた10万円の1/2である5万円を所得税として支払うことになります。
お祝い金を受け取った場合は
満期時に一括で保険金を受け取るのではなく、お祝い金として分割で受け取った場合も一時所得となり、所得税の対象になります。
この場合も、お祝い金を受け取ったときまでに支払った保険料の総額とお祝い金の差額が50万円以内なら課税対象外です。
たとえば中学・高校入学時に45万円ずつのお祝い金と、大学入学時(18歳)に満期金として130万円受け取るプランで、月額保険料が1万円の学資保険に0歳で加入した例をみてみましょう。
中学校入学時に45万円を受け取った場合、この時点での支払保険料の合計は1万円×12ヶ月×12年=144万円なので、差額はマイナスとなり課税されません。
続いて高校入学時に45万円を受け取った場合です。
この場合は、すでに中学入学時に受け取った45万円を支払い保険料から差し引いて計算します。
すると差額は45万円-(180万円-45万円)となり、やはりマイナスになるため課税されません。
最後に大学入学時に130万円を受け取ったときの計算は、130万円-(216万円-90万円)で4万円となりますが、50万円の控除後はマイナスとなるため、課税されません。
分割で受け取ると税金が高くなることも
保険金を大学入学時から卒業まで、毎年5回に分けて年金のように受け取った場合は、一時所得ではなく雑所得として区分されます。
そのためたとえば、保険金総額が200万円の学資保険に加入して毎月9,000円の保険料を18年間払い込み、満期金を18歳から22歳まで毎年40万円ずつ5回に分けて受け取るプランをみてみましょう。
計算式は以下のようになります。
受け取った保険金-(受け取った保険金×支払った保険料総額÷受け取る保険料の総額)
この式に例に挙げたプランをあてはめると
40万円-(40万円×194.4万円÷200万円)=1.12万円
となり、1.12万円が雑所得となります。
サラリーマンの場合、雑所得が総額20万円以下であれば申告しなくてもよいのですが、仮想通貨やネットオークションなどで利益があった方の場合、20万円を超えてしまうことは少なくありません。
その場合、20万円を超えた額が総合課税の対象となり、所得に応じた税率が課せられます。
自営業者は一括での受け取りがおすすめ
自営業の方の場合、サラリーマンに認められている雑所得での20万円の控除を受けることができません。
先に挙げた例なら、1.12万円が全額課税対象となり、所得に応じた税率が課せられてしまうのです。
自営業の方は満期金を一括で受け取り、一時所得扱いとした方が節税になります。
満期金の受取人と契約者が異なる場合
学資保険で贈与税が掛かることも
通常学資保険に掛かってくる税金は所得税ですが、満期金の受取人と契約者が異なっている場合、贈与税が掛かってきます。
これは保険料を支払った契約者から贈与を受けたという形になるためで、実際に受取人が保険料を支払っていて契約者は名前だけであっても免れることはできません。
ここは重要なポイントなので、しっかり記憶しておいていただければと思います。
贈与税は所得税よりはるかに重い
贈与税は所得税より重い税率が課せられます。
たとえば所得税の計算で例として挙げた、保険料の総額が200万円で満期金が210万円の学資保険の場合、所得税は0円でしたが、贈与税では以下のような計算式が適用されます。
贈与税=(満期保険金−基礎控除額110万円)×税率−控除額
贈与税の場合は支払った保険料は考慮されず、基礎控除の110万円を引いた額が課税対象となります。
210万円の満期金では、税率が10%で控除額は0円となるため、(210万円-110万円)×10%=10万円の贈与税が課せられることになるのです。
学資保険の契約者と満期金の受取人は同一人物にしておくことがセオリーですが、何らかの事情で別人になることもあります。
その場合には、1年間に受け取る満期金を110万円以下にしておけば、重い相続税の負担から逃れることができます。
祖父母が学資保険の契約者の場合
学資保険の契約者になるためには、年齢制限や非保険者との同居などさまざまな制約がありますが、祖父母が契約者になることが不可能というわけではありません。
もし祖父母からお子さんに学資保険をプレゼントしてもらえるなら、満期金の受取金額を年間110万円以下にしておけば大丈夫です。
具体的には、一括で受け取る満期金を110万円にするか、1回分の保険料を110万円以下にして複数回受け取るプランにするかをおすすめします。
学資保険の満期で確定申告の必要書類とは?
確定申告に必要なもの
学資保険で受け取った満期金が所得税の課税対象となった場合、確定申告を行わなければなりません。
ここからは、確定申告に必要となる書類を紹介しましょう。
なお、記入する金額は、保険会社から届く支払証明書に記載された金額を元に、先章で紹介した計算方法で割脱します。
確定申告を行うにはこのあとで解説する申告書のほか、本人確認書類・印鑑・所得を明らかにできる書類が必要です。
本人確認書類はマイナンバーカードか、「番号確認書類(マイナンバーが確認できる書類、通知カードか住民票)」+「身元確認書類(マイナンバーの持ち主が確認できる書類、運転免許証・パスポート・健康保険証など)」を用意します。
印鑑はいわゆる三文判で構いませんが、シャチハタなどの朱肉不要で使えるインク浸透印は不可です。
所得を明らかにできる書類は、学資保険の支払証明書のほか、サラリーマンの方なら源泉徴収票の原本、自営業の方なら青色申告決算書か収支内訳書を準備してください。
申告書の記入方法
サラリーマンの場合は「確定申告書A」で
確定申告を行うときに使用する申告用紙には2種類ありますが、サラリーマンの場合は「確定申告書A」を使用します。
用紙はわざわざ税務署に出向かなくても、国税庁のホームページから無料でダウンロードできます。
学資保険の満期金が一時所得の場合は、「確定申告書A」第一表の「収入金額等」のオと書かれた「一時」欄と、「所得金額」の④と書かれた「一時」欄に金額を記入します。雑所得の場合は、「確定申告書A」第一表の「収入金額等」のウ「雑・その他」欄と、「所得金額」の②と書かれた「雑」欄に金額を記入しましょう。
自営業者は通常の申告と同時に行う
自営業の方は、通常の申告で使用している「確定申告書B」の第一表に追記します。
学資保険の満期金が一時所得の場合は、「収入金額等」のサと書かれた「一時」欄と、「所得金額」の⑧と書かれた「総合譲渡・一時」欄に金額を記入します。
雑所得の場合は、「所得金額」のク「雑・その他」欄と、⑥と書かれた「雑」欄に金額を記入しましょう。
満期金が贈与税の対象となったときの申告方法
贈与税はもらった人が支払う税金
所得税と贈与税の大きな違いは、だれが税を負担するかという点にあります。
遺産相続などで不動産を相続したものの、贈与税が支払えずに不動産を売却するといった事例がよくみられますが、学資保険で契約者と保険金の受取人が異なるケースでも保険金を受け取った人が贈与税を支払うことになるのです。
契約者が夫で受取人がお子さんか妻というように、「家庭内」で収まるケースなら大きな問題は起こりません。
しかし祖父母が孫にというようなケースでは、保険金の贈与時期や金額をよく考えておく必要があります。
また、贈与税は1年間に贈与された財産の総額に対してかかるので、贈与額と基礎控除額の兼ね合いには注意したいものです。
申告方法は所得税より簡単
贈与税の申告に必要な書類は、通常贈与税申告書と本人確認書類のみでOKです。
本人確認書類は税務署に直接赴くなら、マイナンバー通知カード・運転免許証などを提示するだけで構いませんが、郵送で申告するときには、本人確認書類のコピーを同封しなければなりません。
必要な申告書は「贈与税の申告書」の第一表兼贈与税の額の計算明細書です。
国税庁のホームページからいつでも無料でダウンロードできますが計算が面倒な場合は、「贈与税の申告書作成コーナー」を利用されることをおすすめします。
自宅のパソコンからアクセスでき、画面の指示にしたがって入力していくだけで簡単に申告書が作成できます。
注意が必要な贈与税の税率
贈与税の税率には一般税率と特例税率の2種類があります。
一般税率は、直系尊属(父母や祖父母など)以外から贈与を受ける場合や、贈与を受ける人(保険金の受取人)の年齢が贈与の年の1月1日において 20 歳未満である場合に適用されます。
特例税率は、直系尊属から贈与を受け、かつ贈与を受ける人が贈与の年の1月1日において20 歳以上である場合に適用される税率です。
特例税率の適用を受ける場合は、贈与を受ける人の戸籍謄本の提出が求められます。
学資保険満期後の据え置き制度とは?
保険金は受け取らずに据え置きができる
学資保険のお祝い金や満期金を受け取らずに、そのまま据え置きすることができることをご存知でしょうか。
お祝い金や満期保険金を受け取らずに、保険会社に預けて運用してもらうことができるという制度です。
据え置き制度を利用すれば預けたお金を銀行預金より高い利率で増やすことができます。
さらに、据え置いたお祝い金はいつでも引き出すことができ、満期金と一緒に満期時に受け取ることも可能です。
据え置いた保険金の税金
学資保険の満期保険金やお祝い金は、所得税の対象となります。
お祝い金は受け取ったときに課税対象となるため、据え置きすれば課税される時期を先送りできます。
満期保険金の場合は、課税される時期は満期日となるため、受け取らず据え置いたとしても満期時に課税されますが、据え置いたお金を受け取るときには課税されません。
それならお金が増える前に課税されたほうがお得かも?と思われるかもしれませんが、残念ながらそうはいきません。
据え置きして増えた利息分の金額は、雑所得として課税対象になるのです。
税務署はそんなに甘くないということですね。
据え置きできる期間は保険会社によって異なる
お祝い金や満期学資金を据え置きした場合、必要なときに自由に引き出すことができますが、据え置きできる期間は満期以降でも可能です。
しかし、いつまで据え置きできるかについては保険会社によって異なるため、契約した保険会社に直接確認されることをおすすめします。
学資保険の返戻率は、保険金の受け取り時期が遅くなるほど高くなるため、お祝い金を受け取らないプランのほうが有利になります。
しかし、中学や高校の入学時には思いのほかお金が掛かるため、お祝い金は大変心強いものです。
そこで、学資保険の契約時にお祝い金付きのプランを選択しておいて、もしお祝い金が不要であれば据え置き制度を利用してお金を増やすという方法を選択することをおすすめしたいのです。
こうすれば家計がピンチに陥ることを防ぐことができます。
なお、据え置いたお金を引き出したあと、再び預け直すことはできません。
まとめ
学資保険では、満期金やお祝い金の受け取り方法で課税額が違ってきたり、据え置きすることでお金を増やすことができたりなど、知っておくと得する情報はたくさんありました。
これらを参考に学資保険を上手に活用しましょう!