学資保険の金利と返戻率
学資保険の金利はどれぐらいか
学資保険は、子供たちの将来のために学資を用意する方法のひとつです。
生命保険の商品として、満期になると契約した金額を受け取るのが特徴となっています。
払込免除特約がついているのが一般的で、契約者になにかあったときにも保障される保険です。
積み立て的な性格を持っていますが、生命保険のひとつであることは忘れてはいけません。
学資保険の商品を見ると、返戻率がクローズアップされており、金利ははっきりしないことが大半です。
この理由のひとつに、保険では年間で表す金利がうまく計算できない部分を持つためです。
なにを参考にしているのかといところから検討しなければいけません。
保険会社の利益構造がポイントになりますが、源泉となるのが加入している人が支払う保険料を運用するところです。
この資金運用により利益が上がれば、これを加入者に対して返すのが保険の中心的な仕組みです。
預かったお金は無計画に資金運用するわけではなく、多くの計画を立案した中で進めていきますが、経験のある保険会社はどの程度利益が出るのか予想します。
これを予定利率と呼びますが、保険会社の運用利回りと考えればわかりやすいでしょう。
ここで重要なのは、予定利率に保険会社でかかるコストを計算しなければいけないところです。
実際の運用内容に変換するためには、保険会社ごとに発生する経営コストなどの費用もはじき出し、予定利率にも加算して求めるため、予定利率は、金利とは同じにはなりません。
金利とは、1年間でいくら利息がつくのかという数字であり、予定利率とは目的も異なる数値です。
どうしても同じように比較されますが、予定利率が影響を与えるのは返戻率です。
返戻率も金利と同じように比較されますが、これもそもそも全く違う数値となります。
金利と比較するとすれば、保険商品としてどの程度の利回りがあるかというところです。
年平均の利回りを求めることは
年平均利回り=(満期時の収益÷元本)÷年数×100
から求められます。
いったいいくら増えたのかを考え、計算していくことで求められますが、現在の一般的な定期預金の金利よりは、学資保険のほうがプラスになりやすい商品が多いです。
それも類型的には貯蓄型であって保障型ではない条件です。
学資保険の返戻率
学資保険の商品はいろいろとある中で、それぞれの商品がもつメリットを比較する条件となるのが返戻率です。
返戻率とは、払い込んだ保険料がいったいいくらになるのかを示している割合です。
保険総額に対して使われるものであり、一般的に返戻率といった場合には、満期受取金に影響する割合です。
計算はいたって単純で、
返戻率=受け取る金額÷払込保険料の総額×100
で計算できます。
この返戻率は、予定利率によって左右されるうえ、保険会社として必要な経費も考慮して決められることから、各社違いがある数値です。
予定利率に関わりますが、同じ金額の掛け金の商品ならば、資金運用として期間が長くなるほうが必然的に利益も大きくなります。
金額が大きくなるほうが、生み出す金額も伴って大きくなるため、優遇されるのが返戻率で現れるポイントです。
つまり、長く寝かしておけるほうがメリットはあり、掛け金の大きなほうが返戻率は上がります。
一回に支払った金額が大きくなると、運用するのにメリットが生まれるため、返戻率が上がることになるのです。
逆も考えなければなりません。毎月18年間払い続けるよりも、一括払いのほうが保険会社は運用益を得られやすくなります。
ここからも見えてくるように、返戻金の考え方は、金利とは全く違った方向性を持ちます。
決定方法にも違いがありますし、内容もまったく別です。
金利と比較する場合には、十分に注意する必要がありますし、同じ基準ではないところで検討していることをよく理解しなければいけません。
学資保険の特徴と金利
学資保険にはさまざまな特徴があり、メリットとデメリットがあります。
低金利の時代だからこそ、有効に活用するためには理解しておかなければいけません。
メリットを生かすことができれば、低金利時代でも十分な有効性を示すからです。
預貯金との違い
学資保険は、貯金と比較されることが多い商品です。
どちらも将来にお金を備えるという点では、共通した部分を持つからです。
しかし、貯金と保険商品では、さまざまな面で違いがあることを忘れてはいけません。
比較する場合には、それぞれの特性を踏まえたうえで、どこに着目するのかを考えて初めて検討できるからです。
基本的な部分として、貯金はお金を貯めるという意味を持ちます。
言葉からもわかる通り単純なことで、銀行などの金融機関にお金を預けておくだけなのが貯金であり、それ以上の効果はありませんが、これがとても重要です。
金融機関は、預けてもらったお金は、金利をつけて返します。
ここが学資保険などと比較されやすい部分で、勘違いされる部分です。
銀行は資金運用として預かったお金をほかに貸しだして利益をあげます。
これが金利差での利益構造であり、中心となる事業です。
もうひとつは外国為替売買益や国債などの運用で、こちらは保険会社に近い構造を持ちます。
あとは投資や手数料といったところも利益の源泉です。
銀行に預けられたお金で運用しています。
学資保険の場合には、生命保険の商品のひとつであり、貯めるわけではありません。
あくまでも保険であって、満期になって初めて契約した返戻率で満期返戻金というかたちを受け取ります。
お金を貯めているわけではないため、いつでも取り出せるわけではありません。
定期貯金の場合でも、崩す場合には金利が下がることがありますが、元本は自分で貯めたもののため失うことがないのが特徴です。
学資保険は保険商品ですので、自分で貯めているわけではなく、保険会社がかけられた保険金を運用していきます。
途中で辞めたいと思っても、運用している資金なのであり、自分の意思で取り出すことはできず、契約を解除して解約するかたちです。
契約を破棄して解約するため、それまでに予定していた返戻金は受け取れません。
それどころか、解約返戻率として定められていた倍率でしか受け取れず、元本よりマイナスになるのが一般的です。
つまり、自分がいくら貯めていたと思っていても、引きだそうと思えばマイナスになることを意味します。
そもそも構造が異なるため、別のものであることを忘れてはいけません。
低金利時代として、節税を考えるのも大切です。
貯金は低金利だとしてもわずかでも利息が出ますが、そこには20.315%もの税金が課せられていることが重要です。
こうして数字を見れば、びっくりするほど引かれていることがわかりますが、かなりの負担につながります。
これは単純に利益だからですが、通帳を見ても税金が引かれていることは容易にわかりません。
通帳を見てわかるのは、これが利息なのであり、計算済みの金額しか記載されていないからです。
源泉分離課税といわれる方法で、税金が引かれてから利息表示されるため、もともとはいくらなのか、引かれたのもいくらなのかわかりません。
直感的にいくら利息がついたと感じるだけでしょう。
学資保険も金融商品のひとつのため税金はかかりますが、かかる瞬間は解約したときや満期になったときです。
銀行のように利息を計算したときに発生するわけではありません。
お金を受け取るときとすれば、銀行の利息と比較してもわかりやすいはずです。
さらに、所得税控除が受けられるところも貯金との違いです。
学資保険は生命保険商品として相当するため、ほかの保険商品とともに掛け金に対して控除される金額が決められています。
現在では最大で4万円とはなりますが、貯金とは節税効果がある点も大きく異なる性質です。
貯めるという言葉の違いが、これだけの内容を生み出します。
メリットとデメリット
学資保険のメリットは、低金利時代であっても貯金よりはるかにいい利回りを持っており、返戻率で100%を超える商品がいろいろとある点です。
貯金したときの金利ではいくらも増えない可能性がありますが、学資保険であればその分支払う保険料を減らすことができ、支払い負担を下げられます。
契約者になにかあったときには、保険商品として払込免除特約があるのも違いです。
これは貯金では実現できない部分で、子供たちの将来を守るためには欠かせないのが学資保険だからです。
貯金では本人になにかあったときには、そのまま継続することはできません。
ここで出てくるのが払込免除特約ですが、学資保険の最大のメリットです。
学資保険に払込免除特約があれば、そのまま継続できますし、満期保険金も祝金も受け取ることができます。
保険料の支払いも必要がなくなるのですから、効果は絶大です。
税金の優遇もありますし、強制的に引き落とされていけば、確実に学資を貯める目標に進められるところも学資保険のメリットになるでしょう。
逆にデメリットになるのは、低い解約返戻率です。
一般的にこうした状況を流動性が低いと称されますが、満期になるまでは得するとは言えない仕組みがあります。
預金は切り崩せますし、あとから増額もできますが、学資保険にはこうした方法はありません。
現金にしようと思えば、解約するしか方法がないためです。
インフレが起きたときの問題もあります。
インフレになると、自然と金利は引きあがりますが、契約してしまっている学資保険は、契約が固定されており金利に合わせて内容を変えることができません。
金利が上がれば、その分だけ貨幣価値が落ち、進学時にもさらに金銭的な負担が増えます。
貯金であれば、その分金利が上昇し、社会的状況に追従していけますが、学資保険では機能しません。
物価も上がる中で、低金利時代の設定のままになるのは、大きなデメリットです。
予定していた金額を満期で受け取っても、必要な金額を満たさない事態が起きる可能性が出てきます。
これは逆もあり、デフレが進むのであれば、一定の返戻率設定のまま続く学資保険はマイナスになりません。
どちらにも一長一短がありますが、長所を生かせるのなら、資金繰りとしても将来の備えとして有効なことは確かです。
学資保険のマイナス金利による現状
低金利時代の中で、どの程度影響を受けているのか、これから先の状況も含めて考えていかなければいけません。
学資保険は、長期間の運用が基本となるため、多くの事象に影響を受けるからです。
マイナス金利の目的
日本の経済の大きな特徴のひとつが、マイナス金利政策をおこなったところにあります。
民間の金融機関は、中央銀行である日銀を利用していますが、そこに預けたときの金利をマイナスにしたのがマイナス金利政策です。
ゼロ金利政策との大きな違いは、マイナスになっている点にあります。
これにより、民間の金融機関は利子を支払わなければいけない事態に陥ったのが問題です。
そうなると、日本の通貨を切り下げることにつながり、輸出して外貨を得るような方法が対策として必要となり、投資もしなければいけなくなります。
貯めこんでも意味がなくなるためで、金融機関は貸し出して利益を得ようとシフトしなければいけません。
デメリットとして、金融機関は収益性が下がるため、投資かは高い利益を得るためにリスクがあっても移行しなければいけない瞬間が生まれます。
当然のことですが、日本国内の金融機関が不安定になるという自体をもたらしました。
日本でよく知られていますが、欧米でも採用された例があります。
ただし、目的は日本の逆で、デフレに対するリスクを減らすためのものであり、日本のように早期にインフレに傾けるためにおこなわれたものではありません。
目指す結果は同じでも、過程は全く違います。
マイナス金利の影響
マイナス金利政策がもたらしたことはいろいろとあります。
そのひとつが生産性の低下です。マイナス金利となり、市場の金利も低下したことによって、大手は成長を加速させました。
ところが小さなところでは、金利が下がった分だけ安定性を失い、投資ができることはありません。
新規で起業しようという人も少なくなりました。
結果として生産性が低下していきますが、時間とともに学資保険にも大きな影響を与えます。
金利に対する影響はさほど大きくなかったものの、マイナスになった分はどこかで補てんしなければいけません。
そのターゲットになったのが、返戻率の高かった学資保険です。
マイナスになった分は預金者が支払うことになりますが、当然保険料が高くなります。
金利が低いため、予定利率もつれて下がり、返戻率にも影響を及ぼしました。
保険会社は、資金運用をして利益を出しますが、標準利率を元に予測しています。
会社の状況もありますが、基本は国債の利回りになるため、経済に大きく左右されるのがポイントです。
標準利率が上がれば、予定金利は必然的に上昇しますが、下がればその分だけ保険料をあげなければいけません。
このしわ寄せは、保険会社だけで受け止めることはできず、利用者へとやってきます。
金利だけを見れば大した変化のなかったマイナス金利が、思わぬところで大きな影響となって襲ってきたといってもいいでしょう。
過去の標準利率の引き下げと推移
標準利率が2017年に0.25%へと引き下げがおこなわれたときには、保険会社は大きな影響を受けました。
保険業界にとって、もっともピークだった時期は1985~1990年あたりです。実際に下降線をたどり始めていた1999年でも標準利率は2.75%をキープしていました。
これが2000年代に入り、ずるずるとさらに底なしのように毎年標準利率は下がっていきますが、2013年には一気に引き下げられます。
これが生命保険の大ショックの時期ともいわれていましたが、さらなる追い打ちとしてマイナス金利政策に合わせて2017年には0.75%も下げるに至りました。
この時点で標準利率は0.25%です。下がってきたとは言えども、2001年から2013年までは標準利率が1.5%あったのに、2017年以降は0.25%にまで落ちるのですから、当然学資保険もただではすみません。
ほかの保険商品とともに、対応していかなければ保険会社ももたなくなる事態に陥ります。
生命保険会社の現状
生命保険会社としても、大きな引き下げに甚大な影響を受けました。
標準利率が引き下げになるとともに国債の金利が引き下げられたことで、金利収入が減少してしまい経営に大きな影響を与えています。
当初はマイナス金利で国債が数多く取引きされました。
下がった分で国債が買われ、逆に値上がりして保険会社にプラスに働きましたが、長く続くわけはありません。
この利益を生みはずの国債を処分したあとが問題です。利益が出ていた国債を処分した跡は、金利が低く利益を生まない国債に投資せざるを得なくなり、苦しい展開を迎えます。
運用益が発生しない状態となり、保険料を値上げするなどで対応してきました。
さらに、解約返戻金を下げるといった方法も必要となり、学資保険の各商品も影響を受けて下がっています。
特に高いレベルを維持していた学資保険は、低金利時代のマイナス金利にはついていけなくなり、販売停止になる商品も生み出す結果となりました。
インフレを引き起こすための政策が、学資保険など将来のための備えを骨抜きにしてしまったともいえるでしょう。
影響を受けた例
学資保険が影響を受け始めるのは、2017年4月です。
この時点で保険料が一斉に値上げになりましたが、それだけではすまず、販売停止である売り止めする商品が出てきます。
現在では再販したものもありますが、高水準の学資保険商品は軒並み影響を受けました。
かんぽ生命がよく知られていますが、当時は高水準の返戻率を誇っていたのが保険料払込免除なし型です。
とても維持できるレベルではなくなってしまったため、現在でも停止されたままになっています。
利用率の改定によって再版されたのが、ソニー生命の学資保険スクエアです。
非常に高い水準の返戻率を持っていましたが、一次販売停止にしたうえで再販しています。
大きな話題になったのは、明治安田生命のつみたて学資でした。
121%を超えたプランを持っていましたが、現在の返戻率から見てもはっきりわかる通り、対応できるものではありません。
大手生命保険会社のうち、最も早く手を打たれてしまった商品となったのです。
利率の高かった貯蓄性の生命保険商品は。学資保険のほかにも影響を受けています。
商品の魅力も失うことになり、とても大きな被害を打ち出すことになりました。
保険料の値上げ
学資保険の商品の対応として、低金利の状況から生まれたマイナス金利の影響を受けた商品が多数あります。
結果として、マイナス分は利用者に負担してもらうよう、実質的な値上がりに踏み切った学資保険です。
明治安田生命のつみたて学資は、非常に大きな影響を受けました。
もっとも早く行動した商品のひとつですが、返戻率は10%以上下がっています。
つまり実質的に10%以上の値上げとなり、魅力はかなり薄れました。
それでも100%超えた返戻率を保っているのは、まだ利用しやすい条件ともいえます。
大きく値上げになったのは、JAこども共済のすてっぷでした。
現在は学資応援隊に変わりましたが、実質8.5%前後の値上げに踏み切っています。
100%ぎりぎりの水準まで落ち込んでしまったことで、学資保険としての貯蓄性はほぼなくなり、魅力を失ったともいえるでしょう。
その分、支払い条件などを変えて、返戻率を引き上げなければまったく貯蓄性を発揮できません。
もっと大きな影響は、アフラックの夢みるこどもの学資保険などです。
条件によって変わりますが、9%前後の値上げとなり、元本割れも起こしました。
貯蓄型として捉えたときには、元本割れは致命的な問題を抱えます。
保障があったとしても、マイナスになることをどうとらえるのか、これまで以上に商品のもつ特徴をはっきりさせ、本当に魅力のある商品かどうかを見定めなければいけません。
加入していたら影響を受けるのか
非常に重要なことですが、こうした低金利時代のマイナス金利が動き出したときに自分の加入している保険商品がどうなるのかは、理解しておかなければいけません。
一般的な生命保険商品の中には、変額保険と呼ばれるものがあります。
予定利率を変動させることが条件のひとつになっている保険であり、市場の変化に追従するところが特徴です。
こうした保険の場合には、マイナス金利の影響も受けます。市場の金利が変動してからになりますが、必ず影響が出てしまうため注意しなければいけません。
学資保険の場合、加入した時点で予定利率を固定します。
固定しているため、途中でどんな変化があってもそのままですし、保険料の改定があったとしても、約束していた条件のままで推移するのがポイントです。
つまり、どんなマイナス金利が起こされたとしても、将来受け取る額が変動したりすることはありません。
突然目減りしてしまい、予定が狂うといったことが起きないため、現在のような低金利時代では、早めに契約してしまうのも方法です。
将来、今よりも金利が下がったとしても損をすることがないからです。
ただし、固定されているため、金利が上昇した場合にもメリットは生まれません。
▶学資保険のマイナス金利で加入するか迷っている人へのアドバイス
十分な性能を持つ学資保険
マイナス金利の時代に入り、学資保険の大半は影響を受けました。
残念なことに保険料が値上がりした状態となり、大事な貯蓄性が損なわれたことで、これまでの魅力を失った商品もあります。
それでも、この低金利の中で利用価値がある学資保険がゼロになったわけではありません。
そのひとつが、ソニー生命の学資保険スクエアです。
もともと高い返戻率を持った人気商品でしたが、当然影響を受けました。業界全体が影響を受ける中で、105%前後の返戻率も実現できる商品として魅力を保っている数少ない商品です。
構造はとてもシンプルであり、複雑な保障などはありません。
学資保険として、高い貯蓄性を維持したまま、魅力を残せた代表的なものです。
特に月払いのままにしても高い返戻率を保てるのは、学資保険スクエアの大きな魅力となっています。
かなり魅力を失いましたが、明治安田生命のつみたて学資もいまだに高い水準を持っています。
貯蓄性を重視した学資保険であったことがマイナス金利時代でも耐えられた条件のひとつですが、105%程度の返戻率を維持できており、利用価値の高い学資保険です。
条件を返戻率よりにしていけば、さらに高いレベルを発揮できますが、利用価値という面で厳しくなるため、条件もよく検討しなければいけません。
学資保険に変わる商品について
低金利時代となり、学資保険に対する影響は大きくなりました。
その中で、ほかのアプローチで子供たちの将来の学資を貯めていくことも必要になってくるかもしれません。
すべてが代替えとなるわけではなく、並行して利用するというリスクの分散にもどんな商品があるのか考える必要が出てきました。
外貨建て終身保険
身近な存在としては感じないこともある外貨建ての中で、終身保険はいろいろなメリットがあります。
外貨建て終身保険にもいろいろありますが、予定利率の高さが利用しやすくしてくれる条件です。
終身保険というところでは、学資に利用する際には途中解約することで対応します。
現在のマイナス金利は、円建てで起こることであり、このリスク回避に外貨建てを使うことで高い返戻率を維持しようというのが目的です。
返戻率は現在の学資保険のレベルを優に超え、以前のようなレベルでの運用もできます。
しかし、メリットばかりではありません。
外貨建てということで、為替リスクが存在します。
外貨のままでは、受け取ったとしても利用することができません。
円に換算しなければいけませんが、このときに関係するのが為替相場です。相場が動き、加入時より円安に進めば返戻率はどんどんと上昇します。
しかし、円高になればどうなるのかといえば、大幅に元本割れを起こす可能性が出てくるのを忘れてはいけません。
一過性のものであれば、この変動に耐えられる可能性も出てきます。
学資として利用する場合、一定期間以上の運用が必要です。そのときに為替相場が動けば、大きな影響を受けることになります。
保険料も毎月変動することになり、積み立てが家計を圧迫し、継続できないリスクも考えなければいけません。
解約しにくいシステムが貯蓄に向いていることは確かです。その反面、日本が低金利時代であることは、世界にも同じような流れが存在することを意味しています。
為替のリスクを長期で読み取れるのであれば、外貨建て終身保険で子供たちの将来を支えられるかもしれません。
そこまで読み取れないのであれば、世界が揺れ動きやすい時代に活用するにはあまりにリスクがあることも理解して利用するべき方法です。
条件として、ドルで使えば為替リスクがなくなるため、留学することを前提とするのであれば、有効性を保てます。
利率変動型終身保険
インフレリスクに対して強みを持つのが、積立型のひとつである利率変動型終身保険です。
市場の変化に追従できる保険であり、定期的に利率を見なおして積み立てしていく特徴を持ち、保険金や解約返戻金も変わります。
一般的な終身保険は固定型ですが、インフレが起きると予定利率が追従できず、恩恵も得られなくなります。
低金利時代でインフレに傾けようとマイナス金利を敷いている現在では、大きなメリットが生まれるかもしれません。
利率が変動するため、インフレにシフトしていけばその分解約返戻金も増えるのですから、利用価値を見出せるポイントを持っています。
逆に下がるリスクもあるため、最低保証が敷かれているため、リスクを抑えられる仕組みも魅力です。
問題点としては、ほとんどの商品が外貨建てです。外貨建て終身保険と同様に為替リスクを受けることは間違いありません。
最低保証がありますが、元本割れしないというわけではありません。
もしも、これ以上の低金利政策が進めば、当然のように元本割れをきたします。
解約する時期によっては、大きく返戻率を下げるのがリスクです。
ほとんどの商品は、一般的な終身保険より自由が利く分だけ保険料が高く設定しているため、利用するときには比較して検討する必要が出てきます。
外貨建て終身保険(低解約型)
外貨建て終身保険の中でも低解約型は、据え置きすることによって、返戻率を高められるところに特徴があります。
その分だけ資金に余裕を持たせられるのが特徴です。
子供たちの進学用として貯蓄を続けていたときに、大学入試に失敗したときなどは、据え置くことによってさらに高い返戻率に引き上げることができます。
受け取るタイミングを自由に変えられることがメリットにつながりますし、終身保険としての機能も生かせるのがメリットです。
デメリットは為替リスクがありますが、なによりも低解約返戻金型である点にあります。
途中解約してしまえば、返戻金は大幅に少なくなるのが特徴です。
払込期間中に解約されてしまうことを防ぐための方法ですが、かなり抑えられているため、時期の設定を間違うことができません。
返戻率を引き上げるポイント
低金利時代であっても学資保険のメリットを引き上げるポイントはいろいろとあります。
そのポイントを抑え、うまく利用していくことが今の時代を乗り越えていく方法です。
できるだけ早く契約
学資保険の特性を考えたときに、返戻率がどこで変動しているのかを考えることが必要です。
大きな要因のひとつになるのが、契約時にあります。一体いつ契約したのかによって、返戻率が変動するのは、2つみていかなければいけません。
契約者の年齢は、できるだけ若いほうが返戻率は高まります。
払込免除特約に関係しますが、年齢が若いほうが保険会社にとってリスクがないためです。
このリスクは大きなものになるため、早めに契約したほうがお得になります。
あまりに年齢が上がってきた場合には、契約できない可能性も出てくるのもリスクです。
契約できなくなれば、返戻率どころではありません。
祖父母が契約する場合には、かなりの影響を受けます。
返戻率に大きな影響が出てくることから、払込免除特約のない学資保険を選ぶなど検討しなければいけません。
払込免除特約を外せば、そもそも年齢のリスクがなくなります。
これはほかの契約者でも同じではありますが、払込免除特約がなくなるリスクのほうが、返戻率よりも重要です。
どんな方法を取っても、子供たちの将来のためであることを忘れてはいけません。
子供たちの年齢にも、契約の時期がかかわってきます。
被保険者の年齢が若くなれば、その分だけ長期間保険会社にお金を預けます。
保険会社は運用期間が長くなるため、返戻率がアップする仕組みです。
単純な仕組みですが、出生前に契約を結ぶなどの方法もあります。
少しでも遅くなれば、それだけ掛けている時間が短くなるほか、保険料の増加も影響してきます。
返戻率だけではなく、どんどんとメリットを失うため、早く契約するのは大きなポイントです。
特約はつけない
特約は、利用者のメリットを高めます。
いろいろな特約がありますが、ひとつでも増えれば、それだけ保険会社の負担が高まることを考えなければいけません。
保険会社にとって、保障をすることになれば、その分のリスクをとる必要が出てきます。
その対応のひとつが返戻率です。
特約の性質も考えてみなければいけません。
育英年金のような特約をつけたときには、なにかあれば長期間の保障をしなければいけなくなります。
もちろん、保障をしなければ、何も問題はありませんが、保険という性質上そうはいきません。
保険会社はその分のリスクを上乗せしていきます。
大事なポイントとして、特約はなんの為に使うのかというのを見極める必要があります。
生命保険としての利用価値は高まりますが、特約を付ければ軒並み元本割れしていく商品ばかりです。
貯蓄という面で考えた場合、特約を付けること自体がメリットを失いかねません。
保障を考えているのであれば、別途生命保険を組むなど対応を考えるほうがメリットが生まれます。
ただし、払込免除特約だけは別です。
こちらは、子供たちの将来の進学を守るために積み立てていく性質上、必要不可欠ともいえます。
特約を外せないこともある理由は、検討してみなければいけないポイントです。
支払期間は短い方が有利
払込期間の設定も大切です。
家計の負担を考えれば、払込期間は長いほうがメリットはあります。
月払いにしておけば、1回の負担は減るからです。
ところが、総合的に返戻率を見てみなければいけません。
支払期間が長くなるよりも、早めに終了してしまったほうが返戻率は高まります。
支払期間を正確に考えてみなければいけません。
0歳から支払いはじめたとして、18年間10,000円支払ったケース
10,000円×12か月×18年=216万円
216万円ですが、これを毎月ゆっくりと支払うのにくらべ、0歳のときに216万円を一括で支払ったとします。
保険会社は、預かったお金が大きいほうが運用して利益が出ると計算できるでしょう。
利益が出るのであれば、その分だけ返戻率を高めます。
保険会社としても、早期に支払ってほしいからです。お互いの利益が一致するため、早期の支払いが有利になります。
ここからわかることは、18年満期であっても支払い終了は早いほうがいいということです。
18年間支払うよりも、10歳までに支払いが終了し、8年間寝かせた方が返戻率は高まります。
支払回数が少なくなる分だけ1回の負担は増えますが、返戻率が高まれば、1回の支払金額も下がります。
支払回数はできるだけ少なく
支払期間と密接な関係がありますが、支払い回数も少ないほうが返戻率のメリットが生まれてきます。
支払回数が増えてしまえば、その分だけ長くなり、保険会社にメリットが薄れてしまうためです。
支払回数の面では、18歳満期として0歳からスタートしても18年間支払うとしても、月払いよりも年払いが返戻率は高まります。
年払いにしたほうが、保険会社が運用利益を上げられるからです。
当然、一括払いのほうがお得感は強まりますが、デメリットとして払込免除特約の問題があります。
払込免除は、支払うはずの保険料を免除するのが目的です。免除が目的なのにもかかわらず、すべて支払ってしまえば、当然免除されるべきものがなくなります。
返戻率は高まりますが、大事な機能が働かないため、特約の存在自体を検討しなければいけません。
月払いに比べて年払いのほうが、1回の支払い金額としては大きくなります。
12か月分よりは少なくなりますが、当然大きな金額です。
これがネックになりますが、1年目は支払い、2年目以降は毎月銀行に1か月分の保険料と考え貯金していくと、無理がなくなります。
使ってしまう恐れも出てきますが、返戻率を引き上げながら、払込免除特約も有効に使える方法です。
必要に応じて、どうしても現金が必要なときには、一時的に引きさすこともできます。
洗濯の幅を大きく広げられるため、有効な方法となるでしょう。
学資保険と金利についてのまとめ
低金利時代となって、学資保険に対する環境も考え方も変わってきました。
どこに有効性を見出すのか、抑えるべきポイントも変わってきているため、複数の方法を並行するなど、リスクの分散を考えるのも必要になってきています。
ただ金利の影響を受けながらも、改めて子供たちの学資を貯蓄していく方法としては、学資保険の有効性の高さは、間違いではないということも感じます。
上手に学資保険を利用できるようにポイントを把握しましょう!