学資保険で入院時の備えはできる?
学資保険には、子供の進学に備えて貯蓄を重視するタイプと万が一の事態に備えた保障を重視するタイプがあります。
保障を重視する学資保険では入院時の備えに関する特約を付けられるため、学資保険で貯蓄と保障の両方を備えたい人には検討してみてもよいでしょう。
学資保険に入院特約を付けると給付金がもらえる
学資保険の加入時に入院特約を付けると、子供が病気やケガで入院したときに給付金を受け取れます。
入院特約で受け取れる給付金は、入院日数によって異なります。
また、給付金を受け取れる入院日数と給付金の金額に関しても、保険会社ごとに上限が定められています。
入院は一泊以上の場合はもちろん、検査等が目的の日帰り入院からでも給付金が支払われます。
入院特約の給付金は、1回の入院ごとに支払われる「入院初期保険金」が支払われる場合もあります。
前回の入院から一定の期間を経過している場合は別の入院とみなされ、新たに入院初期保険金が支払われます。
ただし、短期間で複数回の入院があった場合は1回の入院として扱われるため、入院初期保険金が支払われる回数も1回限りとなります。
学資保険では先進医療特約を付けられる場合もある
学資保険の医療特約は、入院特約以外にもさまざまな特約が存在します。
例えば、保険が適用できない高額な医療に対して「先進医療特約」をつけておくと、治療の際に給付金が受け取れます。
先進医療にはがん治療・白内障手術・子宮筋膜症といった特定の病気に用いられる治療が含まれていて、厚生労働省が病名と治療方法を細かく定義しています。
先進医療を用いた治療は全額自己負担となるため、長期間の入院が必要な場合は治療費と入院費で二重の負担になってしまいます。
しかし、保険によって入院・先進医療特約が付いていれば自己負担を減らせるため、万が一の事態に備えて特約を付ける選択肢もあります。
通院のみの医療特約は無い場合が多い
医療特約は入院や手術の保障に対しての保障が中心であり、通院時の医療負担に対する特約はついていない場合がほとんどです。
通院治療の場合は保険適用される治療法が多いので、特約が無くても自己負担は少ない傾向にあります。
したがって、入院や手術の保障と比較すると、通院特約の優先順位は低めです。
一部の学資保険には通院特約を設けているタイプもあり、通院1日当たり〇円という計算で給付金が出されます。
具体的にいくらの給付金が出されるかは保険会社ごとに異なるため、気になる場合は通院特約の有無を含めてプランを検討してみましょう。
学資保険に入院特約を付けるメリット
学資保険に入院特約を付けておくと、子供への保障を一つにまとめられるので家計の管理が手軽に行えます。
入院特約を付けた学資保険は、管理面以外でもメリットがあるので抑えておきましょう。
子供の病気やケガに対して備えができる
学資保険に入院特約(医療特約)を付けておくと、病気やケガが原因で子供が入院したときの備えが出来ます。
入院特約は日帰りの入院から給付金が出される場合もあるため、予想外の事態で医療費の負担が増える心配も減らせます。
子供の医療に関しては、自治体ごとに支援が行われています。
しかし、支援の内容はばらつきが大きく、同じ年齢でも医療費の負担割合が異なる場合・入院と通院のどちらかにしか支援が行われない場合があります。
自治体の医療支援の対象年齢が低い時や入院時の保障を付けたいときは、学資保険に入院特約を付けることを検討しても良いですね。
申請してから短期間で給付金が振り込まれる
学資保険に入院特約を付けた場合、給付金を受け取る申請を行ってから5日程度で振り込みが行われる場合が多いです。
給付金の支給には保険会社の審査があるため、審査内容によっては5日よりも長い日数が必要になる場合もあります。
給付金の審査には受取人の身分証明書と保険証、被保険者の保険証に加えて専用の書類作成が必要な場合があります。
入院や手術を含めた医療特約を付けている場合、入院のみと手術のみで審査の書類が異なる点にご注意ください。
子供の入院や手術となれば、親の付き添いが必要となる場合もあります。
子供の入院費や手術費に加えて、親が仕事を休むことによる収入の減少が心配な時も、すぐに給付金が受け取れれば安心感があります。
学資保険に入院特約を含めた医療特約を付けておけば、学費の貯蓄と子供の医療保障を1つにまとめられる点もメリットです。
学資保険に入院特約を付けるデメリット
学資保険に入院特約を付けるなら、デメリットも知っておく必要があります。
入院保障特約を付けるときは、補償内容と毎月の保険料が見合っているかをよく確認しましょう。
返戻率が下がる
学資保険に特約を付けると保険料が上がるため、返戻率はどうしても下がってしまいます。
特約の数によっては、満期金よりも払った保険料の総額の方が多くなってしまう「元割れ」となってしまう点に注意しなくてはなりません。
学資保険に入院特約を付ける場合は、返戻率が100%以上であることを確認してから契約しましょう。
返戻率が100%以下になっても医療保障を充実させたい場合は、学資保険とは別の手段で学費の貯蓄を行う必要があるでしょう。
学資保険以外の貯蓄方法には、低解約返戻金保険やNISA等があります。
どちらの方法も少ない金額から始められますが、低解約返戻金保険は途中解約した際の返戻金が低く設定されています。
NISAには一般NISA・積み立てNISA・ジュニアNISAの3種類があり、口座を開設できる年齢や非課税期間と金額が異なります。
NISAでは口座開設および投資可能な期間も決められているため、利用するなら早めに口座を開設しておきましょう。
保障の対象範囲が限られている
学資保険でつけられる医療特約は、子供向けの医療保険と比較すると保障の対象範囲が限られています。
学資保険の場合、入院や手術の給付金はあっても通院給付金が無い、手術や放射線治療の種類によっては支払い対象期間が決められている等、保障の対象が限られてしまいます。
子供の医療保障は手厚い内容を整えておきたいと考えたとき、学資保険の医療特約では物足りないと感じるかもしれません。
充実した子供の医療保障を準備したい・毎月の掛け金はできるだけ低めが良いと考える場合は、子供向けの医療保険や共済の利用がおすすめです。
医療保障の充実に重点を置くなら子供向け医療保険、毎月の掛け金の負担を抑えたいなら子供向け共済が向いています。
入院特約を付けたいときはどの学資保険が良い?
学資保険に入院特約を付けたいときは、入院以外の医療特約の内容も比較して決定しましょう。
保障の対象となる医療や貯蓄とのバランスを考え、自分に合ったプランを選択してください。
▶保障型の学資保険の返戻率と保険料を徹底調査!どのプランがおすすめ?
かんぽ生命「その日からプラス」では放射線治療にも保険金が出る
かんぽ生命には、「その日からプラス」という医療特約があります。
その日からプラスはどちらも無配当型の特約であり、障害医療特約と総合医療特約の2種類から選べます。
障害医療特約では、不慮の事故が原因で入院・手術が必要になったときに給付金が出されます。
ただし子供側に事故の原因があるときは、給付金の支給対象外になります。
障害医療特約はⅠ型とⅡ型があり、Ⅰ型のみ入院初期保険金がついています。
障害医療特約では、入院・手術・放射線治療の3分野にわたって給付金が支払われる内容となっています。
入院保険金は、あらかじめ定めた「特約基準保険金額」を元に支給金額が決定されます。
1日あたりの入院で特約基準保険金額の1.5/1000相当が支給金額となり、入院初期保険金や手術・放射線治療の基準にも採用されます。
入院保険金で定められた金額は「入院保険金日額」と呼ばれており、入院初期保険金は入院保険金日額の5倍・放射線治療では入院保険金日額の10倍が給付金となります。
手術については入院中と外来の場合でことなり、入院中の手術は入院保険金日額の20倍・外来の手術は入院保険金日額の5倍が給付金の金額となります。
総合医療特約の内容と支払われる給付金の金額も、障害医療特約と同じです。
ただし、総合医療特約では不慮の事故と病気に対して給付金が支払われるため、障害医療特約よりも幅広いケースに対して備えができます。
その日からプラスには、被保険者が不慮の事故で死亡・高度障害状態になった場合に保険金が支払われる災害特約も存在します。
保障をより手厚くしたいときは、災害保障特約を付けても良いでしょう。
太陽生命のわくわくポッケでは感染症治療の入院でも給付金が出る
太陽生命の学資保険「わくわくポッケ」では、こども入院保険特約・保険医療一時金特約・手術特約の3種類から特約が選べます。
わくわくポッケの入院保険特約は、入院1日あたり給付金が5,000円・入院一時金として30,000円が支給されます。
入院の原因がインフルエンザ等の感染症だった場合は、入院給付金・一時金に加えて感染症入院一時金が30,000円支給される内容です。
手術の場合は入院が1回に月10万円、外来が1回につき25,000円の給付金が支給されます。
放射線治療を行った場合は、1回につき10万円の給付金が支給されます。
保険医療一時金特約では、骨折治療1回につき60,000円の給付金が支給されますが、180日間に1回という日数制限があります。
太陽生命わくわくポッケでは、契約者に対する特約かこども医療特約のどちらかを付けての加入が条件となっています。
こども医療特約の利用する場合は子供の健康状態に関する申告が必要となるため、申告内容によっては学資保険に加入できない場合がある点に気を付けましょう。
住友生命のこどもすくすく保険なら貯蓄と入院保障が両立できる
住友生命のこどもすくすく保険では、こども総合医療特約として入院・手術に対する特約を付けられます。
こども総合医療特約は、不慮の事故で入院したときの災害入院・病気が原因で入院したときの疾病入院の両方に対応しています。
災害と疾病どちらの場合でも、入院日数×入院日額という計算で給付金が算出されます。
手術の給付金は手術のケースによって異なり、外来手術では入院日額の5倍・がん以外の手術では入院日額の10倍の給付金が支払われます。
そしてがんの手術では、入院日額の20倍の給付金が支払われます。入院を伴う手術の場合、頭・胸・腹部を開く手術では倍率が異なります。
がん以外の手術ではでは20倍、がんの手術では40倍の倍率が入院日額にかけられています。
放射線治療を受けた場合は、入院日額の10倍が給付金の金額になります。
こどもすくすく保険では、こども総合医療特約とは別に入院一時金が支払われる「こども入院保障充実特約」も付けられます。
入院に伴う出費が心配な時は、こども総合医療特約とこども入院保障充実特約の両方を付けても良いでしょう。
▶住友生命の学資保険「たのしみキャンバス」「こどもすくすく保険」
学資保険で入院特約を付けない場合はどうする?
学資保険の入院特約を付けない場合でも、子供に対する医療保障は整えられます。
ここからは、学資保険以外で利用できる子供の医療保障について見ていきましょう。
自治体の医療助成制度を利用する
子供に対する医療助成は、多くの自治体で行われています。
風邪や軽いけがといった通院のみで治療可能の場合だけでなく、入院治療が必要な時に助成金を発行する制度を設けている自治体に住んでいる場合は、入院特約の必要性は低くなります。
自治体の医療助成制度の対象年齢はばらつきがありますが、小学校卒業~中学校卒業までを対象にしている自治体が多いです。
助成対象年齢までの医療費については、一定の年齢までを無料にした後一部負担という形をとるか、助成対象年齢まで無料にするかに分かれます。
自治体の医療助成制度では所得制限が発生する場合もあるため、助成対象となる子供の年齢・助成が行われる分野(通院だけでなく入院と手術に対しても助成が行われるか)を確認する際、所得制限の有無も一緒に確認しておきましょう。
子供共済を利用する
子供共済の中には、医療保障を重視しているタイプがあります。
子供共済の場合、学資保険に医療特約を付けた場合よりも毎月の負担金が安い点が長所です。
子供共済の負担金は毎月1,000円程度なので、学資保険は貯蓄をメインに利用したいと考えるときは、子供共済との併用が役立ちます。
学資保険は生命保険会社が扱う商品なので利益を出す必要がありますが、共済は組合員が資金を出し合って保障を行う仕組みがあるため、利益を出す必要がありません。
子供共済の負担金が安い理由は、利益を出さなくても保障が成り立つ点にあるのです。
子供共済の保障内容は、通院・入院時の給付金と手術給付金を基本に成り立っています。
学資保険の特約では通院に対する給付金が付かない場合が多いため、通院治療の備えをしておきたい場合は子供共済を利用するのがおすすめです。
子供共済は契約者と子供の死亡保障や先進医療保障、損害賠償も組み合わせて利用できます。
子供への保障は手厚く備えて置きたいけれど、毎月の負担額が増えるのが心配という人は、子供共済に加入して一連の保障を整えておきましょう。
子供向け医療保険を利用する
医療保険には子供が加入できるタイプも存在するため、学資保険の医療特約の代わりとして活用する選択肢もあります。
契約年齢が20歳未満からの医療保険を利用すれば、子供の医療保障を手厚く準備することも可能です。
子供が加入できる医療保険は入院・通院・手術に対して給付金が出される場合が多く、プランによってはがんや先進医療・放射線治療に対して給付金を付けられます。
補償内容は入院・通院・手術を基本として、がん・先進医療・放射線治療を特約に付け加える形式が一般的です。
がんや放射線治療に関しては入院日数と回数が無制限になっている場合もあり、学資保険の医療特約と比較すると保障の内容が充実している点がメリットとしてあげられます。
学資保険の入院特約は慎重に選ぶ
子供に対する医療保障を一本化したいとき、学資保険に入院特約を付けておくと安心感があります。
ですが、特約を付けた学資保険は返戻率が下がり、受け取る満期金が減ってしまいます。
少しでも学費の蓄えを増やしたいと考える場合は、学資保険に入院特約を付ける選択肢は有効とは言い切れません。
共済のように少ない掛け金から利用できる医療保障を利用する、子供が加入できる医療保険で手厚い保障を整えるといった選択肢もあります。
子供の医療は自治体の支援も整えられているため、保険や共済を利用しなくても十分医療保障を整えられるという場合もあります。
子供に関する医療費は、予想外の時にまとまったお金が必要になることもあり得ます。
そんなときに医療費の助成や給付金があれば、自己負担を最小限に抑えられます。
ただし、保障は必ずしも使うとは限らないため、家計の支出と収入のバランスを踏まえて子供の医療保障を選ぶ必要もあります。